中伏木駅【万葉線】
北陸の夏の太陽に輝く花々が、路面電車を迎える
高岡駅から万葉線に乗り、射水(いみず)市を目指す。全長12・9㌔の万葉線は、併用軌道(路面)と専用軌道がつながった珍しい鉄道路線だ。しばらく市街地を自動車と並走し、やがて専用軌道に入ると、色とりどりの花が咲く小さな中伏木(なかふしき)駅が目に留まり途中下車した。
駅前の花壇は、付近の住民が丹精込めて育てたユリやサルビアなど夏の花で埋め尽くされ、夏空を背にした小さな駅舎と赤い万葉線の列車に彩りを添える。
小矢部(おやべ)川と庄(しょう)川に挟まれた河口付近にある駅から少し歩くと、庄川にかかる古い鉄橋を万葉線のレトロ車両がコトコトと渡っていく姿が見られた。
再び列車に乗り、新町口(しんまちぐち)駅で下車。日本のベニスと称される内川を巡りながら、新湊大橋を望む海王丸パークへ。公園には帆船が係留され、富山湾から吹き渡る海風が心地よかった。
文・写真/越信行
中伏木駅は1951年開業。厳密には万葉線高岡軌道線の停留所。中伏木駅へは富山駅から万葉線で32分。
(出典「旅行読売」2018年9月号)
(ウェブ掲載 2021年5月6日)
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