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【ひとり終着駅へ】上田電鉄別所線 別所温泉駅(2)

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【ひとり終着駅へ】上田電鉄別所線 別所温泉駅(2)

別所温泉駅はレトロな木造駅舎

外湯巡りと老舗宿で湯三昧

別所温泉は標高570㍍、夫神(おがみ)岳・女神岳の山裾に湧く。温泉街の中心に立つのが北向(きたむき)観音堂で、周囲を取り囲むように旅館や共同浴場、神社仏閣がある。外湯は石湯、大師湯、大湯の三つ。

「大湯は別所温泉のシンボル的な存在で、露天風呂付き。石湯は池波正太郎の『真田太平記』にも登場する湯です」と別所温泉観光協会のスタッフに教わり、まずは外湯巡りへ。大湯と石湯の入り口には飲泉塔もあり、体の内と外から硫黄泉が楽しめる。温泉街の中心には「足湯ななくり」や湯かけ地蔵のほか、カフェやベーカリーも。ひと休みしたら、早々と旅館に向かう。

宿泊先に選んだのは、1917年創業の旅館 花屋。大正ロマンあふれる大理石風呂など3種の湯船に源泉をかけ流す。宮大工が手掛けた建築、春は数種の桜など見どころも多いので、滞在時間をたっぷり取って過ごしたい。女性限定の「至福のひとり旅」プランも用意されている。

2日目は、厄除(やくよけ)観音として信仰を集める北向観音堂へ。開創825年と伝わり、本尊は千手観音。手水(ちょうず)には温泉が用いられ、境内に樹齢1200年の愛染(あいぜん)カツラがそびえている。参拝後は参道で、厄除饅頭(まんじゅう)や名物の馬肉うどんも忘れずに。安楽寺では国内唯一の木造八角塔である国宝八角三重塔を見ておこう。安楽寺から常楽寺へと続くさるすべり小道を歩けば、見晴台から塩田平が一望できる。


文/内山沙希子

外湯
外湯の一つ、石湯。池波正太郎の筆による「真田幸村公隠しの湯」の石碑が立つ
足湯
湯川沿いにある足湯ななくり。安楽寺の八角三重塔をイメージした造り

ひとり泊歓迎の宿

旅館 花屋

1917(大正6)年創業。6500坪の敷地に木造建築が点在する、登録有形文化財指定の宿。ステンドグラスが印象的な大理石風呂や若草風呂、男女別露天風呂がある。ひとり旅プランも好評だ。ひとり泊は、繁忙期を除く平日受付、1泊2食2万3250円~(掲載時の料金。詳細は問い合わせ)、トイレ付き8畳和室など利用。

住所:長野県上田市別所温泉169

交通:上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩5分

TEL:0268-38-3131

(出典「旅行読売」2021年4月号)

(ウェブ掲載2021年6月22日)

花屋の風呂
花屋の大理石風呂
走行
のどかな田園地帯を走る別所線


Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。

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