ローカル線で行く! とっとり ひとり旅 ①
~山陰線・境線~1泊2日
のどかな日本海沿いの町を走る山陰線(青谷駅―泊駅間)
白砂の浜まですぐ、海辺の駅からスタート
話題の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」、観光列車「あめつち」などが走る鳥取県。人気まんがにちなんだ列車も運行中で、鉄道スポットも多い。そんな魅力に触れたいと、ひとり気ままな、鳥取鉄道旅に出かけた。
まずは白砂の東浜海水浴場が広がる山陰線の海辺の駅・東浜駅へ向かう。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」が立ち寄るようになり、駅は改装。近くには瑞風の乗客に朝食を提供するイタリアンレストラン「AL MARE(アル マーレ)」もオープンした。
ぶらり! 東浜駅&おすすめスポット
浦富(うらどめ)海岸
AL MARE(アル マーレ)
ここから普通列車に乗り、西へ向かうことにした。清々しい深緑のなかを走り抜け、高架線に入ると、「あめつち」の始発・終着で、「瑞風」も停車する鳥取駅に着いた。因美線経由で智頭急行や若桜鉄道も直通で乗り入れする、山陰旅のターミナルだ。
鳥取駅を滑り出した山陰線の気動車は千代(せんだい)川を渡る。市街地を離れると湖山池が目に入ってきた。列車は小さなトンネルをいくつも抜け、時折澄んだ日本海が車窓右手に望める。山肌には果樹園も多い。鳥取県は「二十世紀梨」「新甘泉(しんかんせん)」など、梨の一大生産地だ。
廃線跡巡りも楽しい歴史町
倉吉駅で下車した。かつて上井(あげい)駅(現・倉吉駅)から南西へ関金温泉を経由し、山守駅まで全長20キロの国鉄倉吉線が走っていた。
廃止から30年以上経ったが旧西倉吉駅あたりから山守駅にかけては、廃線跡がはっきりとわかる。また一部に線路が残り、廃線跡歩きが人気を呼んでいる。
「水田や竹林が広がる日本の原風景のなかで、線路を実際に歩けるのが魅力です」と倉吉観光MICE(マイス)協会の営業マネージャー・塩川修さんは笑顔で語る。1985年3月31日の倉吉線の最終運行列車に乗車したという塩川さん。懐かしむ横顔には、今も地元の誇りである倉吉線への思いがあふれていた。
古い町並みが残る倉吉白壁土蔵群も歩いた。漫画家・谷口ジローさんの名作『遥かな町へ』の舞台になった所だ。作品では、主人公がタイムスリップした1963年当時の上井駅も描かれている。この日は三朝温泉に宿を取り、ラジウムの名湯を楽しんだ。