錦秋の越前おおの グルメ紀行
黄葉を中心に3色に彩られた山あいに広がる九頭竜湖と「夢のかけはし」
風光明媚な城下町・大野市には、訪れたい紅葉の名所が満載。名水の里ならではの秋グルメとあわせて楽しみたい。
歴史と食文化が息づく名水の里で紅葉さんぽ
福井県東部の大野市は、九頭竜(くずりゅう)川上流域にあたる山紫水明の地。名水百選に選ばれた「御清水(おしょうず)」をはじめ、市内各所で清冽(せいれつ)な水が湧く。「北陸の小京都」と呼ばれる大野市は、城下町として栄えた歴史を今に伝える。織田信長の家臣・金森長近(かなもり ながちか)によって造られた越前大野城は、2020年に築城440年を迎えた。
自然豊かな大野市には、紅葉スポットも多い。なかでも市内南東部に広がる九頭竜川上流の九頭竜湖は、北陸屈指の名所だ。市街から車で45分ほど。例年、10月下旬から11月初旬が見頃で、瀬戸大橋の試作とされる「夢のかけはし」(箱ヶ瀬橋)からの眺めがおすすめ。赤と黄に針葉樹の緑色も加わり、3色の「錦繡」と青い湖面のコントラストが美しい。九頭竜湖下流の九頭竜峡や願教寺山(がんきょうじやま)の麓の刈込池も紅葉の名スポットだ。
標高249メートルの亀山の山頂に1968年、天守が復興された越前大野城周辺の紅葉も見事。例年、見頃は11月上旬。秋頃から雲海が発生しやすくなり、タイミングが合えば、初雪を冠した白山などをバックに「紅葉の天空の城」に出合えるかもしれない。
さらに、秋の大野は食が満載だ。名水が育む米やそば、酒はもちろん、最近では「名水サーモン」「越前おおの荒島ポーク」なる新ブランドも登場して話題になっている。紅葉さんぽの途中で、秋の大野グルメを満喫してみたい。
大野 秋のご馳走 ~満「福」旅~
名水の里・大野で味わえる逸品を紹介しよう。
清流サーモン
2021年に誕生した、大野生まれ、大野育ちの新名物。市内の伏流水で養殖されたサーモンは、肉質のよさが自慢だ。「脂がのっているのに、さっぱりとした後味」と評判に。活き締めで販売しているので、新鮮そのもの。
なお、清流サーモンなどの「大野 秋のご馳走」は、2021年4月、中部縦貫道大野東 IC(仮称、22年度開通予定)そばの国道158号沿いにオープンした、道の駅「越前おおの 荒島の郷」などで購入できるほか、大野市のふるさと納税の返礼品にもなっている。
越前おおの荒島ポーク
開発期間約18年。今、注目の大野ブランド豚肉だ。大野産サトイモや野菜、地下水など、安心・安全の手作りの餌にこだわり、大切に育て上げる。その肉は「豚特有の臭みがなく、甘みが強い」と人気を集めている。
油揚げ
福井県は油揚げの消費量日本一。なかでも名水で仕上げた豆腐をカリッと揚げた大野の厚揚げはファンが多い。良質の水に恵まれ、豆腐店も多い。店により食感が異なるので、食べ比べしてみたい。
大野在来そば
そばの産地・大野市。特に昔から受け継がれてきた「大野在来種」のそば粉を名水で打ったそばは、豊かな風味ともちもちとした食感が特徴だ。市内のそば店や食堂などで味わえる。
九頭竜まいたけ&上庄さといも
自然に包まれた山あいの工場で生産される「九頭竜まいたけ」。身が厚く、香り・歯ごたえともに抜群だ。天ぷらや炊き込みご飯にして堪能したい。
また、大野市は県下有数のサトイモの生産地。特に上庄(かみしょう)地区のサトイモは、1日の寒暖差が大きいことからデンプンを多く含み、独特の粘りがあり、煮くずれしにくいのが特徴だ。
大野市までのアクセス
鉄道=越美北線越前大野駅下車/車=中部縦貫道大野ICから3キロ