新大平下駅【東武日光線】
北関東のブドウと工業の町を彩る光の世界
雲海に浮かぶ小高い山を望むことから「陸の松島」の異名を持つ太平山(おおひらさん)。その麓、ブドウ畑が広がりブドウ団地と呼ばれる一帯の外れに新大平下(しんおおひらした)駅はある。平屋建ての駅舎の前は、年末になると美しいイルミネーションで彩られる。
駅がある大平町(現在は栃木市の一部)の名には、「天下太平(泰平)」の意味も込められているという。東口駅前で操業する工場へ留置線が敷かれていたこともあり、工業の町として栄えてきた。
「光と音のページェント」と題するイルミネーションは、新たなにぎわいを創出しようと地元のまちづくり団体などが2005年から開催している。暮れも押し迫った12月、ちょっと寄り道をしてこの駅へ。色とりどりの光に包まれ、冷えた体が温められた気がした。
文・写真/越信行
※大平町……下都賀(しもつが)郡大平村が1961年に大平町に。2010年に隣接していた栃木市などと合併。
東武日光線は1929年全線開業、新大平下駅は1931年開業。新大平下駅へは浅草駅から1時間30分
(出典 「旅行読売」2019年1月号)
(ウェブ掲載 2021年11月25日)