布部駅【根室線】
まばゆい雪原に名作ドラマの舞台が浮かぶ
気温が氷点下20度を下回ることも珍しくない冬の北海道。北の大地ならではの幻想的な光景を求めて、富良野地域へはこの10年間、何度も足を運んでいる。
滝川駅を起点とする根室線は、空知(そらち)川に沿って山あいへと分け入っていく。富良野駅から一つ目、空知川の川霧の向こうに浮かび上がる芦別岳(あしべつだけ)など、夕張(ゆうばり)山地のなだらかな山並みを望むのが布部(ぬのべ)駅だ。
緑色の屋根の駅舎を出ると、駅前に1本のクロマツがあり、その根元に「北の国 此処(ここ)に始まる」と書かれた碑が立っていた。一世を風靡したテレビドラマ「北の国から」の第1話で、五郎、純、蛍の黒板(くろいた)親子が最初に降り立ったのがこの駅なのだ。
懐かしいドラマに思いを馳せながら辺りを散策すると、キラキラと輝く雪原の先に、レトロな駅舎が浮かび上がっていた。
文・写真/越 信行
※根室線東鹿越-新得駅間は、2016年8月の台風被害のためバス代行輸送中。
根室線は1921年全線開業、布部駅は1927年開業。布部駅へは滝川駅から1時間30分
(出典 「旅行読売」2019年2月号)
(ウェブ掲載 2021年12月8日)