北条氏滅亡の機となる「未完の城」
古道と御主殿跡方面とをつなぐ曳橋。戦時には落として敵の侵入を防いだと推測される(写真提供/八王子観光コンベンション協会)
戦乱の世をしのぶ本丸跡
安土桃山時代、関東制覇を目指す北条氏照は、高尾山北の深沢山に八王子城の築城を進めていた。しかし完成を待たず、1590年、上杉景勝、前田利家らに攻略され1日で落城。その時、氏照は小田原城に籠城中で、兄・氏政と城下で切腹し北条氏は滅亡した。
バスを降りて西に進み、城の歴史を紹介する八王子城跡ガイダンス施設に寄ってから登城しよう。
ガイダンス施設の先、左側の谷筋を歩く。古道(大手道)から御主殿跡まで整備され、石畳や石垣など、発掘されたものを使い忠実に復元されている。御主殿は氏照の館などがあったとされる所だ。
標高約460㍍にある本丸跡へは来た道を戻り、未舗装の山道を45分ほど登る。曲輪などの遺構があり、本丸近くに地名「八王子」の由来となった八王子神社も鎮座する。小さな祠と石碑が立つひっそりとした本丸跡で、戦乱の世をしのぶ。
<問い合わせ>
八王子観光コンベンション協会 TEL:042-649-2827
(出典「旅行読売」2021年12月号)
(ウェブ掲載2021年12月20日)