たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【旅する喫茶店】珈琲グルメ(福島)

場所
> 福島市
【旅する喫茶店】珈琲グルメ(福島)

白熱灯が輝く店内。あえてLEDは使わないという

 

市民に愛され続けるレトロモダン

福島駅を出て雑踏を避けながらビルの階段を上がる。木製扉を開けると、ジャズが流れコーヒーの香りが漂う店内に白熱灯ランプが輝き、テーブルに蓄音機やコーヒーミルの骨董品が並んでいて、店が「福島レトロモダン」をうたう別世界が広がる。

1979年開業の店は「オーナーの趣味がコーヒーで、その奥深さを知ってほしくて開いたそうです」とスタッフの吉内浩之さん。注文を受けてから自家焙煎(ばいせん)豆を挽(ひ)き、ハンドドリップでいれる「ブレンド珈琲」は「ビター」「グルメ」「サワー」など豆の配合や焙煎時間が違う5種があり、濃厚で飲み応えがある。パングラタン、珈琲(コーヒー)ババロアなど個性的なオリジナルメニューも人気だ。

コーヒー
コーヒーはハンドドリップでいれる
グルメ
自家製ホワイトソースを入れたパングラタン、珈琲ババロア、ブレンド珈琲。セット割引あり

古いビルの2階のレトロ空間が、若者でにぎわっているのが意外だったが、「親や先輩に連れられ初めて来る人も多いです。帰省した人が集まる場所にもなっています」(吉内さん)と聞いて納得。そうやって世代を超え、愛される空間が続いてきた。

興味深い話を聞いた。ある日、婦人が訪ねてきて「若い頃に飲んでいたコーヒーがどうしても飲みたくなって」と言う。聞けば、30 年前に横浜に嫁いだ女性で、この日家族に「散歩に出てくる」と言って出かけ、衝動的に新幹線に乗ってきたそうだ。不思議とは思わない。この店と故郷に宿る思いを想像するなら。

文/福崎圭介 写真/三浦健太郎

蓄音機
蓄音機やランプなど古いインテリアが目を引く

珈琲グルメ

住所:福島県福島市栄町7-33錦ビル2階

交通:東北新幹線・東北線福島駅から徒歩2分

TEL024-523-4035

(出典 「旅行読売」2022年2月号)

(ウェブ掲載 2022年2月4日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています