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ご飯のおとも ふくら印の「たらの子缶詰」

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 石川県
> 金沢市
ご飯のおとも ふくら印の「たらの子缶詰」

大きなタラコの輪切りにしょうゆベースのタレが染みて、見た目にも食欲をそそる

北陸名物、大正時代から変わらぬ手作り

手のひらほどありそうな大ぶりのタラコの輪切りに、ほどよく染みた秘伝のタレ。口に入れるとタラコがぷちぷちと弾け、甘辛いタレが舌に広がって、思わず白いご飯に手がのびる。

「たらの子缶詰」は、1923(大正12)年の発売以来、ご飯や酒のともとして愛されてきたロングセラー商品だ。主に石川、福井、富山の北陸3県でしか販売しないにもかかわらず、年間8万~10万個を売り上げる。金沢の郷土食の食品加工会社である株式会社シンヤが製造し、直営店「ふくら屋」が販売している。

缶
缶切りで開けるT2缶(大)とイージーオープンのSP缶(小、写真)がある。どちらもレトロな絵柄
製造工程
タラコの輪切りや缶詰めは手作業。タレも一つずつ缶に注ぐ
アレンジレシピ
小口ネギと紅ショウガ、卵黄をトッピングしたアレンジ丼

「パッケージの絵柄はほぼ大正時代のまま。製法も昔ながらの職人による手作業を受け継いでいます」と話すのはシンヤの営業部長・永守和雄さんだ。もともと石川県の家庭では日本海で獲れたマダラの魚卵を甘辛く煮て食べていたが、ふくら屋が缶詰にして売り出すと「食感がいい」と評判に。現在は一年を通じて生産するため、アラスカ付近を回遊する天然のマダラの熟した魚卵を仕入れている。

魚卵は普通、熱をかけると裂けてばらばらになってしまうが、「企業秘密の、ある工程」(永守さん)を施し、職人が包丁で切るときれいな輪切りの形が保てる。それを手作業で缶に詰め、タレも手作業で注いでいく。

このタレは、しょうゆの町として400年の歴史がある金沢市大野のしょうゆを使用し、砂糖や発酵調味料と合わせて絶妙の甘辛さに仕上げている。タラコにしっかり味が染みるのに、しつこさがなく、後味がすっきりしている。

「たらの子缶詰」ファンの間では、このタレのおいしさも味わい尽くすための食べ方も考案されている。例えば、アツアツのご飯にたらの子を載せてタレをかけ、全部をよく混ぜて食べるのは、福井県で好まれる食べ方。丼(どんぶり)のご飯の上にたらの子をばらし、好みのトッピングを載せ、缶底のタレをかけるのもご飯が進むアレンジだ。

文/中元千恵子


ふくら屋

やみつきシリーズ:大598円(170㌘)、小298円(70㌘)※掲載時の料金。公式ホームページでご確認ください

注文方法:電話またはホームページから注文。東京・銀座のアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」でも販売

住所:石川県金沢市泉3-6-48

(出典 「旅行読売」2021年11月号)

(ウェブ掲載 2022年2月9日)


Writer

中元千恵子 さん

旅行ライター。日本全国を旅して職や工芸、風土を紹介する記事を執筆。都内アンテナショップのポータルサイトに携わり、約10年間取材し、各店舗の名産品を3000点以上紹介してきた

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