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駅舎のある風景 上神梅駅【わたらせ渓谷鐵道】

場所
> みどり市
駅舎のある風景 上神梅駅【わたらせ渓谷鐵道】

花に彩られるプラットホームと文化財の木造駅舎

渓谷を眺めながら列車旅をしようと、桐生駅からわたらせ渓谷鐵道に乗車した。

市街地を走り抜け、大間々(おおまま)駅を出てしばらくすると、車窓風景はこれまでと一変し、右手に渡良瀬(わたらせ)川の流れが広がる。夏の雨に濡れた渓谷の緑はさらに色深く、一段と美しさを増していた。列車は木々の間から見え隠れする渡良瀬川に沿って山間へと進んで行く。途中いくつかのトンネルを抜けると、古い木造駅舎が目を引く上神梅(かみかんばい)駅が見えてきた。

大正元年の1912年に開業し、昭和初期に増築した建物は国の登録有形文化財。当時の木造改札やベンチがそのまま残り、周辺住民たちの植えた花々がプラットホームを彩る。住民たちの駅を愛する心があってこそ、この駅舎は今に受け継がれてきたのだろう。そんな思いを心に刻み、雨上がりの駅を後にした。


文・写真/越信行


上神梅駅は足尾鉄道の駅として開業。1918年に旧国鉄足尾線になり、1989年に第3セクターに転換。上神梅駅へは桐生駅から普通で26分

(出典:「旅行読売」2020年7月号)

(WEB掲載:2022年5月27日)





Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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