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【旅する喫茶店】六曜館珈琲店(甲府)

場所
> 甲府市
【旅する喫茶店】六曜館珈琲店(甲府)

さまざまな骨董品が飾られた店内は昭和の趣

 

骨董品に囲まれて味わう喫茶店の餃子

甲府駅の南、旅館萬集閣(まんしゅうかく)のツタに覆われた側壁の間に扉がある。1973年、旅館の応接室を独立した店にリフォームして開業した六曜館珈琲店(ろくようかんコーヒーてん)だ。

古色蒼然(こしょくそうぜん)とした店内はテーブル席10脚、カウンター4席とこぢんまりしていて、いくつもの柱時計が掛かり、年代物のランプ群が展示されている。旅館業のほかに骨董(こっとう)品店を営む店主の成澤秀仁さんが、コレクションを披露する場所でもある。

昼は観光客が憩う店として妻の光子さんが、夜はお酒も飲める店として娘の明子さんが切り盛り。明子さんは酒の肴(さかな)にと、市内の閉店した人気餃子店の小振りな餃子(ギョーザ)を参考に独自の味を考案。これが評判となり、餃子目当てに他県から訪れる人もいるほどだ。

創業当時の器具を使ってネルドリップでコーヒーをいれる成澤明子さん
旅館とは別の入り口

締めの1杯にもコーヒーはぴったり。有機栽培豆を使った六曜館ブレンド600円は香り高く味わい深い。注文を受けてから豆を挽(ひ)き、ネルドリップでいれる。カップは北欧の老舗ブランド「アラビア」社製を使用。「父が開業するとき、親交のあった女優、高峰秀子さんから薦められたカップだそうです」と明子さんは打ち明ける。

「青春とは人生の或(あ)る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ」

壁に飾られた詩の一節は、この店の神髄を表しているようだ。

文/田辺英彦 写真/青谷 慶

餃子(大)1300円(※値段は掲載時)

六曜館珈琲店

住所:山梨県甲府市丸の内2-15-15

交通:中央線甲府駅南口から徒歩5分

TEL:055-222-6404

(出典:「旅行読売」2022年8月号)

(WEB掲載:2022年9月14日)


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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