【桜の咲く駅へ】磐越東線で見に行く三春滝桜
豪奢な枝ぶりで、満開時には流れ落ちる滝を思わせる三春滝桜
阿武隈高地の山あいに咲く日本三大桜の滝桜
土地の名から、春のにぎわいが伝わってくるようだ。福島県のほぼ中央に位置する三春町は、梅、桃、桜がいっせいに花開くことが名の由来とされる。町のシンボルは日本三大桜の一つ、三春滝桜(みはるのたたきざくら)。名桜に出合う旅は、福島県内を走る磐越東(ばんえつとう)線で出かけよう。郡山駅からいわき駅まで85.6㌔。阿武隈(あぶくま)高地を貫く路線は「ゆうゆうあぶくまライン」の愛称を持ち、のどかな車窓が魅力だ。]
東北新幹線郡山駅で磐越東線に乗り換えると、一つ目が舞木(もうぎ) 駅。構内に約30本の桜があり、開花期のライトアップが「撮り鉄」の人気を集める。二つ目が三春駅で、ここから三春滝桜まではタクシーか臨時バスで15分。町内の桜は約1万本といわれ、役場のある中心部にも名木が多い。
推定樹齢が1000年を超える三春滝桜は緩やかな丘陵地で四方に枝を伸ばし、薄紅色の花を付けている。エドヒガン系ベニシダレザクラで、樹高は13.5㍍。巨木を目の前にして見上げると、頭上から花が降り注ぐよう。滝桜の名にふさわしい咲きぶりは「都まで 音に聞こえし 滝桜 いろ香を誘へ 花の春風」などと、古くから歌にも詠まれてきた。開花期には御桜印(ごおういん、300円)が頒布され、ライトアップも行われる。
戦国時代から城下町として栄えた三春では、桜に彩られる三春城跡での散策、三春そうめんや三春グルメンチなどの食文化も楽しみたい。
夏井川沿いの夏井千本桜も沿線の見どころ
三春駅から磐越東線でさらに東へ。田園地帯を進み、船引(ふねひき)駅を出ると田村富士と呼ばれる片曽根山を望む。小野新町(おのにいまち)駅を過ぎ、車窓右手に見えてくるのが夏井千本桜。夏井駅で下車し、歩いて5分ほどの夏井川へ向かおう。両岸5㌔にわたってソメイヨシノ1000本の並木が続き、遊歩道をのんびり歩ける。
1泊2日でローカル線の旅を満喫するなら、郡山駅から磐越西(ばんえつさい)線で会津若松駅へ。会津鉄道の桜の駅をたどるといい。
文/内山沙希子
三春滝桜
見頃: 4月上旬~中旬
1922年に国の天然記念物に指定された、日本を代表するベニシダレザクラの名木。樹高13.5㍍、根回り11.3㍍、枝張りは東西28㍍、南北18㍍。
■6時~18時(ライトアップ時は~21時)/300円/TEL0247-62-3690(三春まちづくり公社)
(出典:「旅行読売」2023年4月号)
(Web掲載:2023年3月29日)