駅舎のある風景 新鶴駅【只見線】
師走から睦月の短い間、電飾に彩られる
会津西街道沿いにあり、会津盆地南端の町として早くから発展した会津美里町を訪ねた。地域の歴史文化の伝承に力を入れ〝美(うるわし)の里〞をうたう町の東、向羽黒山(むかいはぐろやま)城の城下町の瀬戸町通りを歩くと、周辺には東北最古の窯場とされる会津本郷焼の窯元が見られる。会津若松の鶴ヶ城主の蒲生氏郷(がもううじさと)が城の瓦(かわら)改修のため西国から招いた瓦工に瓦を焼かせたのがそのルーツという。
同町にはJR只見線が走っていて、12月から1月にかけて町の玄関となる3駅(※)で地元有志がイルミネーション装飾を行うと聞き、帰りに立ち寄った。中でも新鶴(にいつる)駅は、クリスマスツリーに見立てたタワーと、電飾をまとった駅舎がひときわ色鮮やかで、目を引いた。
やがて空から雪が舞い降り、〝美の里〞を優しく包み込んでいった。
文・写真/越 信行
※会津本郷駅の周辺は会津美里町になるが、駅自体は会津若松市に属する
只見線は1971年全線開通。新鶴駅は1926年開業。会津若松駅から普通列車で約30分
(出典:「旅行読売」2022年2月号)
(Web掲載:2023年4月27日)