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【鉄印帳の旅】いすみ鉄道

場所
【鉄印帳の旅】いすみ鉄道

いすみ鉄道は、木更津と大原とを結ぶ木原線として計画されたが、上総(かずさ)中野─上総亀山駅間は結ばれることなく1988年に第三セクターへと転換された。鉄道の旅を楽しんでもらいたいと、当時の社員たちが種をまいた菜の花は沿線を埋めつくし、今では地元住民や沿線自治体、ボランティアなども加わり、四季の花々で彩られる人気路線となった。
大原駅から菜の花色の列車に乗り、まずは大多喜(おおたき)駅を目指す。いすみ線はのどかな里山の合間を縫うように進み、国吉駅の手前で夷隅(いすみ)川の鉄橋を渡るとこの川沿いを山間へと分け入っていく。城見ヶ丘駅近くの菜の花と桜のポイントを過ぎ、右手に大多喜城の復元天守が見えてほどなく大多喜駅へ到着した。

 

鉄印
いすみ鉄道の鉄印

町の中心からバスで大多喜ハーブガーデンへ向かい、自社農園産ハーブを使ったランチを少し早めに楽しんでから中心部に戻る。古い商家の建物が残る街中と、本多忠勝(ただかつ)によって近世城郭として整備された大多喜城址を巡った。
いすみ鉄道の鉄印は、旧国鉄車両のキハ28、キハ52のイラスト画の上に、大多喜町地域おこし協力隊で書家の吉岡磨里さんの力強い毛筆が描かれたもののほか、古竹社長のメッセージ入り、限定版など種類が豊富だ。「オリジナル版はもちろん、これからも楽しくなる鉄印を考案していきますので、花を眺めながらのんびりと列車に乗って、訪ねてきてほしい」と総務課の稲葉さんは話す。

 

たけのこ御膳
「郷土料理たけのこ」のたけのこ御膳

再び列車に乗り、小湊鐵道と接続する上総中野駅で気動車同士の連絡風景を撮影し、大原駅へと戻った。総元(ふさもと)駅で途中下車して、「郷土料理たけのこ」で名物のたけのこ御膳(4500円)を味わうのもおすすめだ。
一足早く春が訪れた房総の里山に心癒やされた1日だった。

鉄印の記帳は大多喜駅窓口にて。9時~17時、鉄印帳/2200円、鉄印の記帳料/300円~(乗車券の提示が必要)
TEL:0470-82-2161

(2023年「旅行読売4月号」より)
(WEB掲載:2023年4月26日)

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Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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