【青春18きっぷでできること】ご当地グルメに温泉にワイン、山梨へ日帰り旅
奥藤本店・甲府駅前店の「甲府鳥もつ煮」650円と「もり」750円。セットメニューもある(※掲載時の料金)
甲府駅前の「甲府鳥もつ煮」発祥の店へ
きっかけはご当地グルメだった。テレビの画面に映るテリテリの「甲府鳥もつ煮」を見たら、たまらなく現地で食べたくなった。が、それだけのために往復4000円以上の出費を考えると、二の足を踏んでしまう。そのとき頭をよぎったのが青春18きっぷである。18きっぷというと、いかに遠くまで行けるかばかりを考えがちだが、近場の日帰り旅の強い味方でもある。中央特快なら新宿駅から高尾駅まで46分。その先甲府駅までは2時間弱だが、車窓ものどかになり、のんびり行くのも楽しい。
山梨県は甲斐の国。甲府駅北口からバスに乗り、武田信玄を祀(まつ)る武田神社に立ち寄ることにした。ここは信玄の父信虎、信玄、勝頼と三代が居住した武田家当主の館跡。木々に囲まれ、静かで落ち着いた時間が流れている。
甲府駅周辺には至る所に鳥もつ煮を出す店がある。目移りするが、「発祥の店」の看板に惹(ひ)かれ、奥藤(おくとう)本店・甲府駅前店に入った。運ばれてきた鳥もつ煮(冒頭の写真)は、甘辛いタレが絡んでツヤツヤに光っている。臭みもなく、想像を超えるおいしさだ。「新鮮な生の鶏のレバー、ハツ、砂肝、キンカンを使い、注文が入ってから調理します」と4代目の塩見大造さん。煮込むのではなく、濃いタレで包みテリを付ける。考案したのは2代目。砂糖としょうゆが貴重だった戦後間もない頃、甘辛いタレの鳥もつ煮は大人気になった。このレシピで「甲府とりもつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊」が、2010年B-1グランプリで優勝したという。
湯上がりの楽しみはワインの飲み比べ
次は2駅戻った石和温泉駅で途中下車。まずは笛吹市石和温泉駅観光案内所で情報収集。さすが湯の街、駅前の無料の足湯のほか、日帰り入浴ができる宿も多いという。観光案内所の入り口には立派なワインサーバーが置かれていた。季節ごとに銘柄は変わるが、笛吹市内のワイナリーのワイン16種が置かれ、有料(100円~500円程度)で試飲できる。タッチパネルで銘柄と量を選んでボタンを押して注ぐだけ。なかなか手に入らないレアなワインも多いという。
夏の青春18きっぷの時期はモモやブドウなど旬のフルーツも土産店に並ぶ。今度はワイナリーとフルーツ目当てに訪れるのもいい。
文/高崎真規子 写真/三川ゆき江
甲府駅・石和温泉駅から立ち寄りたい施設
元祖「鳥もつ煮」発祥の店。手打ちそば、ほうとう、丼のほか「手作り生芋刺身こんにゃく」や「甲州名物馬刺し」などつまみや酒のメニューも豊富。
■11時~14時15分、17時~19時30分/祝日を除く木曜休/甲府駅からすぐ/甲府市丸の内1-7-4/TEL:055-232-0910
※掲載時のデータです。
石和温泉のpH9.1の美肌の湯を日帰りでも楽しめる。1階ロビーでは、シャトレーゼアイスの無料サービスもある。
■10時30分~20時30分/無休(臨時休あり)/1000円/石和温泉駅から徒歩7分/笛吹市石和町松本348-1/TEL:055-262-3755
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年7月号)
(Web掲載:2023年7月13日)