東京の水辺で二つの船旅を体験!「TOKYO CRUISE」と「東京水辺ライン」
「ナイトクルーズ」の船から眺める永代橋と東京スカイツリー
松本零士氏が外装のデザインを手がけた「エメラルダス」
多くの川が流れ、東京湾に注ぐ水の都・東京では、水上バス、屋形船、船上レストラン、桜や花火などを水上から眺めるクルーズなど、水辺の楽しみ方は多岐にわたる。この夏の注目株、二つの船旅を体験することにした。
まずは、漫画・アニメ界の巨匠、松本零士(れいじ)氏が外装のデザインを手がけた「エメラルダス」を予約。同氏がデザインしたシリーズの最新作で、2018年に就航、お台場〜浅草間を1日に2~3往復している。お台場海浜公園の水上バス乗り場に着船したエメラルダスは、近未来の宇宙船のよう。船内にはベンチやイス、テーブルがゆったりと配され、船体を覆うように多くの窓がある。
船は水辺をすべるように発進。レインボーブリッジをくぐり、隅田川に入る。窓に目をやると、目の前に豪快な水しぶきが見え、別の窓には空に向かって伸びる高層ビル群が広がる。松本零士氏のアニメ作品の声優らによる観光アナウンスも入り、雰囲気を演出。なんだか架空の物語空間を宇宙船で進んでいるようで、大人でも気分が盛り上がる。
夜は人気のナイトクルーズ「2大タワー周遊便」
両国リバーセンター発着のナイトクルーズ「2大タワー周遊便」(1時間30分)も見逃せない。船上デッキにも上がれるので、風を感じながら水上からの夜景を楽しめるのだ。まずは浅草方面に進んで夕景の東京スカイツリーを一望、Uターンして隅田川をレインボーブリッジの方へ向かう。隅田川にはさまざまなデザインの10本余りの橋が架かっており、船はその下をくぐって進む。遠目も美しいが、間近からのライトアップはなかなか見られない光景だ。目の前に迫る橋げたも迫力がある。
永代(えいたい)橋にさしかかる頃にはとっぷりと日も暮れ、左手に大川端リバーシティーが現われる。光り輝く高層ビル群の壮観な眺めに、船上でどよめきが起こった。その先の右手には東京タワー。周辺の高層ビルがじゃまをして、なかなか全景を眺められないが、水上からはさえぎるものがほとんどない。ビルの谷間にオレンジに輝く姿は、ひときわ美しい。
船はレインボーブリッジの先で再び向きを変え、両国へ戻る。出迎えてくれるのは、さまざまに色を変える東京スカイツリーのライトアップ。船室でもゆったり楽しめるが、夜景に目を奪われ、ずっとデッキに立ち尽くしたままだった。
文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝