【出港!海の旅】高速ジェット船とフェリーで神津島へ(1)
セブンアイランド結(ゆい)。1分間に180トンの海水を吸い込み、ジェットウォーターを船尾ノズルから噴射して時速約80キロで航行する
海のジェット機とフェリー、二つの船旅を楽しむ
伊豆諸島の神津(こうづ)島に渡るのは40年ぶりだ。当時は大型客船の初代さるびあ丸が就航していて、東京・竹芝客船ターミナルを23時頃に出港し、翌朝9時頃に着いた。私はまだ学生で、2等室は夏休みのため人であふれ、甲板で貸し毛布にくるまりながら一夜を明かしたものだ。
今回は高速ジェット船「セブンアイランド」を利用。さるびあ丸が約10時間かかるのに対し、なんと3時間数10分で渡島できるのだから驚きだ。東海汽船のセブンアイランドは「結」「大漁」「友」「愛」の4隻があり、どの船に乗れるのかは当日のお楽しみ。この日は2020年7月に就航した「結」に乗船できた。天候は大雨で強風が吹き、波も高い。船が揺れて船酔いしたら……と心配顔の私に、同社広報・企画グループの石坂直也さんはこう話した。
「セブンアイランドで使用している船は正式名称を『ジェットフォイル』といい、ジェットエンジンで海水を吹き出し、空気の代わりに揚力(浮き上がる力)を得て進む〝海のジェット機〟です。前後2枚の水中翼で船体を浮かせて航行するので、波の影響を受けず、ほとんど揺れませんから安心ですよ」
その言葉に背中を押され、いざ乗船。船内は2階建てで、左右の窓際と中央に船体と同じ青色のシートが並んでいる。同社の高速ジェット船では初めてのバリアフリーシップでもあり、車イスを回転させるスペースや船内階段には昇降式チェア、車イスからスムーズに移動できるバリアフリー席などを備えていた。
出航後、船体が浮き上がるまでは若干の揺れがあったが、その後は平穏そのもの。白波が立つ海上であることを忘れるほどだ。レインボーブリッジを見上げたり、羽田空港から飛びたつ飛行機を見送ったり。船窓の風景を楽しむ余裕も出てきた。寄港するたびに乗客は減り、最後は私と2組の親子だけに。式根島を出ると船に驚いたトビウオが跳ねた。「魚が飛んだ!」と子どもの元気な声が響いた。
文・写真/内田晃
◉運航ダイヤ
東京(8:00発)ー大島(9:45着、9:50発)-利島(10:19着、10:20発)-神津島(11:05着)
神津島(14:35発)-利島(15:19着、15:20発)-大島(15:50着、16:00発)-東京(17:45着)
※8月31日までのダイヤ。その後はホームページで
◉料金(8月) 東京~神津島 1万2940円
◉アクセス 東京・竹芝客船ターミナル=山手線・京浜東北線浜松町駅から徒歩8分
◉問い合わせ 東海汽船 ☎03・5472・9999
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年8月号)
(Web掲載:2023年7月27日)