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【出港!海の旅】クイーンコーラルクロス 沖縄航路乗船記(2)

場所
【出港!海の旅】クイーンコーラルクロス 沖縄航路乗船記(2)

魅惑の南海デイクルーズの始まりを告げる奄美大島の朝焼けを、デッキから望む

 

奄美大島から沖縄まで島々に停泊する“各停”の船旅

【出港!海の旅】クイーンコーラルクロス 沖縄航路乗船記(2)から続く

翌日早朝、奄美(あまみ)大島の名瀬(なぜ)に入港。鹿児島~名瀬間は深夜特急の様相だったこの船も、以降は沖縄までの島々に寄る〝各停〟の船旅となる。本土遠征の球児など奄美の高校生らが鹿児島からたくさん乗っていたが、名瀬で下船。その他の旅客もごっそり下りたが、新たな乗客の姿も見られる。仕事や所用のためという人が多数を占め、離島航路の色彩がますます濃厚に。

見送りの人が退船のアナウンスまで船内に立ち入ったり、逆に船客がふ頭で待つ人に会いに行くための一時下船をしたり、紙テープでの見送りがあったり。本土の長距離フェリーでは見られない、おおらかな光景が展開する。乗ってくるのは人だけではない。徳之島は闘牛の島。沖縄での大会に出場する牛たちを載せたコンテナが、クレーンで積み上げられていく。売店には鹿児島や沖縄だけでなく、徳之島や与論島など各島の特産品も置かれている。また、奄美の地元紙や関連本が並ぶのもこの航路ならでは。沖永良部島(おきのえらぶじま)に停泊中、船内レストランでランチタイムとなり、奄美名物の鶏飯(けいはん)をいただく。上陸しないでも奄美にいる気分が味わえた。

鹿児島・奄美・沖縄と寄港地の味覚を楽しめるレストランは明るい雰囲気
1等室備え付 けのアメニティセット。シャワー使用に必要な備品がそろっている
各寄港地のお土産のほか、マリックスラインのオリジナルグッズも充実している売店

南国の島々を海から眺めながら、いよいよ沖縄へ

13時過ぎ、マルエーフェリー「フェリー波之上」とすれ違う。間もなく与論島。この日は朝からやや薄曇りだったが、それでもコバルトブルーの海に目がくらみそう。ここで鹿児島県は終わり、いよいよ沖縄へ。辺戸岬(へどみさき)、伊平屋(いへや)・伊是名(いぜな)の島々を過ぎ、伊江島(いえじま)が見えてくる。島を縁取る珊瑚(さんご)のリーフが沖縄に来たことを感じさせる。右手に伊江島のタッチュー(城山)と左手に美海(ちゅらうみ)水族館を望む伊江(いえ)水道、ひょっこりひょうたん島かと見まがう水納島(みんなじま)や白いビーチが広がる瀬底島(せそこじま)。トロピカルムード満点の風景を両側に見つつ、終点・那覇へ。右に那覇空港、左にユニークな形状のロワジールホテル那覇が過ぎ、25時間の船旅は大団円を迎える。

船上から南の島々や島を縁取る珊瑚(さんご)のリーフを望む
与論寄港の間、誰もがその真っ青な 海に、ただただ見とれていた
夜間航行中も現在位置が確認できる航路図

南の島々をつなぐ魅惑のトロピカル航路は、ほかにない南国らしいゆるさとユニークさを併せ持つ。そのまま台湾にでも行ってしまいそうな気さえした。そして、次々と現れるエキゾチックな風景に夢中になっているうちに、いつの間にか航海は終わっていた。19時、那覇入港。下船し、琉球民謡の流れる居酒屋でオリオンビールや泡盛、郷土料理で沖縄到着を祝う。こうして那覇の夜は更けていった。

文・写真/カナマル トモヨシ(航海作家)


クイーンコーラルクロス

◉運航ダイヤ
鹿児島18:00発 → 翌5:00着 名瀬(奄美大島)5:50発 → 那覇19:00着
那覇7:00発 → 20:30着 名瀬(奄美大島)21:20発 → 鹿児島 翌8:30着

◉料金(鹿児島~那覇)
特等           3万7200円+BAF1470円
1等             2万9760円+BAF1470円
2等寝台        2万1160円+BAF1470円
2等             1万4880円+BAF1470円
自動車    3メートル以上~4メートル未満7万800円+BAF7350円
※BAF(燃料油価格変動調整金)は2023年5月2日乗船分からの金額で、3か月毎に変動する可能性があります。※そのほかの区間の運賃や自動車運賃などについてはホームページをご確認ください。

◉アクセス
鹿児島新港=九州新幹線鹿児島中央駅からバス20分(タクシー15分)、または鹿児島空港からタクシー1時間/九州道鹿児島ICから6キロ
那覇港=ゆいレール旭橋駅から徒歩10分/那覇空港から車で5キロ、沖縄道那覇ICから県道82号経由8キロ

◉問い合わせ マリックスライン鹿児島 ☎099・225・1551
※掲載時のデータです。

 

(出典:「旅行読売」2023年8月号)
(Web掲載:2023年8月31日)

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