【私の街の路面電車】日本で唯一、国道1号を走る路面電車 豊橋鉄道市内線
市役所前―東八町間を走る「ほっトラム」
家康ゆかりの吉田城下を走る100年の歴史を持つ路面電車
1925年の開業以来、約100年の歴史を持つ豊橋鉄道。鉄道事業は三河田原駅へ延びる渥美線と、全線が併用軌道(路面電車)の市内線がある。市内線は正式名称を東田(あずまだ)本線と呼び、駅前―赤岩口間および運動公園前を結んでいる。運賃は180円均一。
分岐する井原交差点には、通称「R11」と呼ばれる半径11メートルの日本一の急カーブがある。
前畑―東田坂上間では33パーミル(1キロで33メートルの高低差)の急勾配があり、珍しい石畳の軌道となっている。全長5.4キロという短い路線だが、これらの鉄道名所に加え、沿線には豊橋の歴史、自然などの見どころが点在している。
55年製造の3200形など、還暦を迎えた車両も活躍。かつて名鉄の岐阜市内線や揖斐(いび)線を走った電車もあり、レトロ感に満ちた外観は昭和の面影を伝える。2008年に導入したT1000形は現代的な全面低床車両(LRV)。「ほっトラム」の愛称で親しまれ、鉄道友の会のローレル賞を受賞している。「豊橋の顔」として活躍する新旧の車両を乗り比べてみたい。
文/谷崎 竜
■モデルコース
<駅前>
↓ 7分
<市役所前>
吉田城
↓ 15分
<赤岩口>
赤岩寺、赤岩山展望台
↓ 22分
<駅前>
豊橋鉄道市内線沿線の見どころ
吉田城
江戸時代の石垣が残る、今川家と徳川家ゆかりの城跡。
■外観見学は自由。吉田城鉄櫓の内部公開は10時~15時/祝日を除く月曜休/無料/市役所前停留場から徒歩3分/TEL:0532-51-430(豊橋市観光振興課)
赤岩寺
726年に創建された高野山真言宗の名刹。鎌倉時代の愛染明王坐像は国重要文化財。
■境内自由/赤岩口停留場から徒歩30分/TEL:0532-62-0012
●開業:1925年
●営業距離:5.4キロ
●停留場数:14
●「1DAYフリーきっぷ」:500円
●問い合わせ:豊橋鉄道鉄道部℡:0532-53-2136
(出典:「旅行読売」2023年9月号)
(Web掲載:2023年9月6日)