【私の街の路面電車】市内を網羅する「日本一」の広島電鉄(2)
最新型の5200形の愛称は「グリーンムーバーエイペックス」。2019年から増備が続く
広電は“動く電車の博物館”
【私の街の路面電車】市内を網羅する「日本一」の広島電鉄(1)から続く
広島電鉄広報・ブランド戦略室の石橋美祐(みゆ)さんは「広電の車両は形式数が26で、291両もあります。戦前製の車両から最新の超低床車両5200形(グリーンムーバーエイペックス)まで在籍し、古い車両も大切に守っています」と話す。広電オリジナルのほか、大阪、神戸、京都の各市電で活躍していた車両、広島市の姉妹都市・ドイツのハノーバー市から譲り受けた「ハノーバー電車」など多種多彩。これほどの車両が今も実際に走っているのだから、〝動く電車の博物館〟と呼ばれるのも納得だ。
プロ野球・広島東洋カープの応援企画として真っ赤なラッピング電車も走らせており、リーグ優勝時や日本一に輝くと特別に花電車を運行して祝福してきた。
広島市街地のほぼ全域をカバーする広電は市内観光にも便利だ。原爆ドーム前停留場で下車し、平和記念公園を訪ねた。平和について思いを新たにした後はカフェやレストランなども入る新施設「ひろしまゲートパーク」に寄ってみよう。旧広島市民球場跡地に、今年3月にオープン。広電も共同事業体として参画する。
再び電車に乗って広島港へ向かう。車内では、停車中に扉を閉めていても乗降客を確認するとすぐに扉を開けてくれるといった運転士の臨機応変な対応をよく目にした。広電を通勤に利用している広島市在住の山岡亮治さんは「最近は災害を予測して計画運休をする鉄道もありますが、広電はめったに止まりません。確実な交通手段として重宝しています」と信頼を口にする。
地域に愛される広電を実感し、行き止まりのホームに終点らしさが漂う広島港停留場へ降り立った。
文・写真/松尾 諭
■モデルコース
<広島駅>
↓ 15分
<原爆ドーム前>
原爆ドーム、平和記念公園、ひろしまゲートパーク
↓ 9分
<縮景園前>
縮景園
↓ 3分
<八丁堀>
お好み村
↓ 40分
<広島港>
広島電鉄沿線の見どころ&味どころ
広島のシンボルとして世界遺産に登録されている原爆ドームをはじめ、世界平和を祈るモニュメントや原爆の恐ろしさを学ぶ資料館、原爆死没者慰霊碑などが点在する広島市中心部にある公園。今年5月にはG7広島サミットで各国首脳が訪れた。
■見学自由/原爆ドーム前停留場からすぐ/TEL:082・247・6738(広島市観光案内所)
広島を訪れたら一度は食べたいご当地グルメの代表がお好み焼き。お店選びに迷ったら、新旧の個性豊かな店が集まるテーマパークのお好み村がおすすめだ。広島市中心部の新天地にあるビルの2階から4階に23店舗が営業中。
■営業時間と定休日は店舗により異なる/八丁堀停留場から徒歩6分/問い合わせは各店舗へ
※掲載時のデータです。
- 開業:1912年
- 営業距離:35.1㌔(市内線19.0キロ、宮島線16.1キロ)
- 停留場数:61
- 駅数:21( 臨時駅含む)
- 電車一日乗車券:700円。路面電車区間の市内線と宮島線の広電電車全線に乗り放題。
- 一日乗車乗船券:900円。広電電車全線に加え、宮島口~宮島間の宮島松大汽船も乗り放題になる。宮島ロープウエーの割引特典も。
- デジタル時間券:スマートフォンから購入するデジタル時間券。広電電車全線乗り放題は8時間券(600円)と24時間券(700円)から選べる。
- 問い合わせ:ひろでんコールセンター(℡0570-550700)
(出典:「旅行読売」2023年9月号)
(Web掲載:2023年8月25日)