「日本百名月」認定の氣比神宮と国の文化財の西福寺でお月見
「日本百名月」に認定された「氣比神宮にのぼる月」は朱塗りの大鳥居によく映える。芭蕉のように一句を詠みたい気分に⁉(写真提供:一般社団法人敦賀観光協会)
文化財が立ち並ぶ西福寺は浄土宗の名刹
「日本書紀」に「角鹿(つぬが)」と記されている敦賀市は、古くよりひらけた歴史ある町。それを物語るように市内には氣比神宮、金崎宮、常宮(じょうぐう)神社、晴明神社、西福寺、金前寺といった古社、古刹が点在する。
敦賀市の西に位置する浄土宗の西福寺は、14世紀の名僧・良如(りょうにょ)上人が開山した。国指定名勝の書院庭園は約1400坪を誇る。大原山を借景に巨岩と池を配した庭園で、極楽浄土を地上に表現したともいわれる。また、国の重要文化財に指定されている、御影堂(修復工事中)、阿弥陀堂、書院などの建築物からは歴史が感じられ、見ごたえ十分。「越の秀嶺(こしのしゅうれい)」の別称をもつというのも納得の名刹である。
芭蕉ゆかりの氣比神宮はお月見の名所
市内中心部に鎮座する氣比神宮は、702(大宝2)年の建立と伝わる古社。7柱の御祭神を祀り、北陸道の総鎮守としてあがめられてきた。とくに海上交通の安全、衣食住の神様として、厚く信仰されている。国指定の重要文化財で高さ約11メートル、朱塗りの大鳥居は圧巻だ。奈良の春日大社、広島の巌島神社と並び、日本三大木造大鳥居に数えられている。厳かな境内に湧き出る御神水「長命水」はパワースポットとしても話題だ。
一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローが日本の美しい名月を認定する「日本百名月」に、「氣比神宮にのぼる月」として選ばれた、月見の名所でもある。
1689(元禄2)年の旧暦8月に、松尾芭蕉が敦賀を訪れた際、月明かりのなか氣比神宮を参拝したといわれる。境内には、「奥の細道」に収められている「月清し遊行のもてる砂の上」「名月や北國日和定なき」の2句のほか、「國々の八景更に気比の月」「ふるき名の角鹿や恋し秋の月」「月いつこ鐘ハ沈る海の底」を刻んだ句碑が立つ。
普段、夜は入れない西福寺でもお月見を楽しめるモニターツアー
貴族や上流階級の影響を受けた行事とされるお月見。南北朝の内乱の舞台となった金ヶ崎城本丸跡は、その後、朝倉氏支配の時には「月見御殿」と称された。芭蕉は敦賀の各所で月を詠んだ秀句を残している。そんな敦賀は「月見の里」ともいえそうだ。空気が澄んだ秋の月は格別に美しい。10月5日・6日のモニターツアーでは「日本百名月」に認定された氣比神宮と、西福寺の境内と庭園という文化財のなかで特別にお月見ができる。普段、西福寺は夕方以降の拝観はできない。まさに絶好の機会だ。月明かりに照らされた「極楽浄土」の庭園は、さぞ息をのむような美しさであろう。
「月見」「廃線ウォーク」・・・敦賀の魅力満載のモニターツアー
今回のモニターツアーの魅力はお月見だけではない。地域観光アドバイザー・トンネルツーリズムプランナーの花田欣也さんによるガイドで通常非公開の敦賀港線跡も巡る。宿泊は、新鮮な海鮮料理を提供する民宿で、翌日は和装体験もあり、国際港、鉄道の町・敦賀を満喫する。
モニターツアーについて詳しくは、こちら。
(Web掲載:2023年9月8日)