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世界遺産を歩こう 青森の縄文遺跡群(1)

場所
> 青森市,八戸市,つがる市
世界遺産を歩こう 青森の縄文遺跡群(1)

青空にそびえる大型掘立柱建物と大型竪穴建物(共に復元)

 

“縄文”って何だろうと思ったら、青森県を旅しよう。県内には約3400もの縄文遺跡があり、名所や特産品と組み合わせながらの旅が楽しめる。2021年、世界遺産に登録された県内8遺跡の中から、青森市、八戸市、つがる市にある四つの遺跡を中心に巡る。

 

旅の始まりは日本を代表する縄文遺跡、三内丸山遺跡

旅の始まりは青森市の三内丸山遺跡。大規模な集落跡や大量の土器・石器、土偶などが発掘され、自然と共生しながら安定した定住生活を送る様子が明らかになった、日本を代表する縄文遺跡だ。

まず、ガイダンス施設「縄文時遊館」の常設展示室を見学する。保存活用課長の永嶋豊さんが「縄文人の一家が三内丸山の生活を紹介する展示構成です。例えば、土器作りは女性の仕事なんですよ」と教えてくれた。自分が使いやすいように煮炊きの道具を作るのは、考えてみればとても合理的。様々な土器を見ていると、おしゃべりに花を咲かせ、相手の技を誉めながら、和気あいあいと土器を作る女性たちの笑い声が聞こえてくるような気がした。

栗の巨木を用いた復元大型竪穴建物。集会場などの公共的な建物だったと考えられている

予備知識をつけたら、広大な遺跡エリアへ。約1700年間続いた営みの証は、何もかもスケールが大きい。モノ送りの場といわれる盛土は、不要な土と共に土器や石器の破片、土偶やヒスイなどのまつりの道具が堆積して2メートルもの層になっている。修理や再利用しながら大切に道具を使い、やがてまた大地へと返す。そこには”捨てる”のではなく”送る”意識があるとされ、エコやリサイクルの原点が実は縄文時代にあったのかもしれないと気付かされた。

夏から秋には発掘現場を公開している

 

続いて南に10キロほどのところにある小牧野遺跡へ向かう。陸奥湾を望む台地上にある、直径55メートルの環状列石(ストーンサークル)で、地元高校の考古学研究会の生徒が発見したという。特筆すべきはその作り方だ。

緩やかな斜面の高い方を削って低い方に盛土して均(なら)し、下の川から約2900個もの石を運び上げ、小牧野式配列と呼ばれる縦横交互の特殊な組み方で三重(一部は四重)に並べている。それを100~200年間かけて作り上げたとされ、世代を超えて祈りを捧げた儀式の場と考えられている。一体どんな願いを込めて石を並べ、どんな儀式を行ったのだろうか。我々の想像をはるかに超える縄文人の精神性に驚くばかりだ。

小牧野遺跡のストーンサークル内に散策路が設けられているので、中央に立つ493キロの巨石の様子も間近に観察できる

三内丸山遺跡の見どころとグルメ

約1700点の出土品を常設展示している

三内丸山遺跡センター
発掘調査により明らかになったムラの様子を、重要文化財約500点を含む出土品や再現展示で解説している。広い遺跡を回るなら、1日8回行われる無料ガイドツアーに参加するのがおすすめ。
■9時~17時(GWと6月~9月は~18時、最終入館は閉館30分前)/第4月曜、年末年始休、保守点検休館あり/410円/TEL017-766-8282
※掲載時のデータです。

 

ハマグリの貝殻が出れば大当たりの「発掘プレート」1500円や、 板状土偶の部助っ人と栗のソフトクリームが乗った「縄文パフェ」800円が人気 ※掲載時のデータです

れすとらん五千年の里
三内丸山遺跡センター併設のレストラン。古代米や青森県産のホタテ、長芋、縄文人も食していたとされる栗やどんぐりなど、縄文と青森を感じられる食材を使ったメニューが並ぶ。「発掘プレート」は当たりが出たら「そふと栗夢(クリーム)」プレゼント
■11時~15時30分/第4月曜休(祝日の場合は翌日休)、年末年始休/TEL017-782-5001
※掲載時のデータです。

 

小牧野館の最新ミュージアムグッズは、遮光器土偶が持ち手についた縄文杖(5500円)

縄文の学び舎・小牧野館
遺跡から1.5キロ離れた廃校を利用したガイダンス施設。出土遺物や模型などを多用した展示で、小牧野遺跡や周辺遺跡をわかりやすく解説している。個性的なミュージアムグッズでも知られている。
■9時~17時/年末年始休/無料/TEL017-757-8665
※掲載時のデータです。

世界遺産を歩こう 青森の縄文遺跡群(2)へ続く

 


青森の縄文遺跡群

<交通>
東京駅から東北新幹線2時間50分で八戸駅、3時間で新青森駅。つがる市へは新青森駅からJR奥羽線・五能線で約1時間20分木造駅下車
<問い合わせ>
青森県観光企画課まるごとあおもり情報発信グループ/TEL017-734-9389


(出典:旅行読売2023年10月号)
(Web掲載:2023年9月12日)

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Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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