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【天空の紅葉旅】2000メートル級の山々の山頂に広がる 美ケ原高原(2)

場所
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  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 長和町,茅野市,上田市
【天空の紅葉旅】2000メートル級の山々の山頂に広がる 美ケ原高原(2)

王ヶ鼻の岩場からの眺め

 

足がすくむほどの迫力ある大パノラマに感動

【天空の紅葉旅】2000メートル級の山々の山頂に広がる 美ケ原高原(1)から続く

山本小屋ふる里館から尾根の先端の王ヶ鼻までは、片道約1時間30分弱の遊歩道。道の両脇は牧場で、5月中旬~10月下旬には約300頭の牛が放牧されている。

あまりに見晴らしがいいので、空と緑の草原がどこまでも続いているような気分になる。15分ほどで、美しの塔に着く。霧が多く発生するこの地域では、道に迷って遭難する登山者が多かった。そこで鐘を鳴らして位置を知らせる避難塔として1954年に設置(83年に改築)されたそうだ。

牛伏山の麓でも牛を放牧
美しの塔。左に見えるのが王ヶ頭

最高峰の王ヶ頭まではさらに45分ほど。標高2034メートル、長野県内の放送局などの電波塔が立ち並ぶ。周囲に遮るものはなく、富士山をはじめ北アルプス、中央アルプス、南アルプス、剱つるぎ岳、立山連峰と、360度の大パノラマが広がっている。

このパノラマの真っただ中に立つのが、雲上のリゾートとして名高い王ヶ頭ホテル。予約のとれない宿としても有名だ。紅葉前線は9月下旬から山を下っていく。ホテルの展望テラスからは、色付く山のグラデーションを眺められるという。

王ヶ頭から見た雲海(写真/王ヶ頭ホテル)

王ヶ頭から王ヶ鼻までは25分ほどの山歩きになる。張り出した尾根の先端からの眺望は抜群だが、迫力がありすぎて、足がすくむ。

「11月にはアルプスに新雪が積もるので、青い空と新雪と金色に輝くカラマツが一緒に見られます」と、山本小屋ふる里館の小澤源司社長。朝、霧が出ると木に霧氷が付いて、さらに幻想的な風景になる。秋は雲海も出やすいので、なかなか見られない絶景が期待できるそうだ。

山本小屋ふる里館では小澤さん自ら大型バスを運転し、ガイドまで務める夜と早朝の無料ツアーを、宿泊客限定で毎日行っている。夜は天体観測と野生のシカなどを探すナイトサファリツアーを開催。雲海の出やすい早朝に王ヶ頭や王ヶ鼻などの絶景スポットを巡り、希望者には記念撮影して無料で画像の提供もする。

天候が良ければ、宿の目の前で満天の星が見られる(写真/山本小屋ふる里館)
山本小屋ふる里館の駐車場からの眺め
社長の小澤さん自らガイドを務めるツアーは宿の名物

実は小澤さんは王ヶ頭ホテルの次男。この辺りで生まれ育ち、良さを知り尽くしている。車中で聞く美ケ原の歴史や植物の話も面白い。

クルマを運転しない人は無料送迎バスがおすすめ。松本駅を14時15分に出て15時30分に到着。翌日はチェックアウト後、間もなく出発するので滞在時間は短い。が、朝夕のツアーを利用すれば、絶景も早朝の澄んだ空気も、つかの間の別世界のひとときを十分堪能できるはずだ。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江

 

■モデルコース

茅野駅
↓車1時間15分
美ヶ原高原美術館・道の駅美ヶ原高原
↓車3分
山本小屋ふる里館泊
↓徒歩15分
美しの塔
↓徒歩45分
王ヶ頭
↓徒歩25分
王ヶ鼻
↓徒歩1時間25分
山本小屋ふる里館前駐車場
↓車1時間10分
茅野駅

 

美ヶ原高原の見どころ

屋外展示場
人気メニューの「鹿肉うどん」
ふわっふわ!「牛伏山のうしブッセ」

美ヶ原高原美術館道の駅美ヶ原高原

約13万平方㍍の屋外展示場には、世界各国の作家による350点余りの現代彫刻が展示されている。高山植物も多く、アートを見学しながら広大な敷地をのんびり散策するのも楽しい。展望台からは色付く山並みを眺められる。隣接する道の駅美ヶ原高原には売店や食堂もあり、人気メニューは「鹿肉うどん」950円と「牛伏山のうしブッセ」350円だ。

■9時~16時30分(道の駅は施設により異なる)/無休(11月上旬~4月下旬は冬季休館)/1000円/中央道諏訪ICからビーナスライン経由43キロまたは長野道松本ICから国道67号経由35キロ/TEL:0268-86-2331


問い合わせ:美ヶ原観光連盟 TEL0263-34-3000

(出典:「旅行読売」2023年10月号)
(Web掲載:2023年9月23日)

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☛にっぽんの秋を彩る紅葉特集はこちら


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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