たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【47都道府県の秋絶景】昔ながらの飛騨の里山風景 種蔵集落(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 岐阜県
> 飛騨市
見頃
10月~11月上旬
【47都道府県の秋絶景】昔ながらの飛騨の里山風景 種蔵集落(2)

くまなく歩いても2時間程度でまわれる小さな集落に、日本の原風景が詰まっている

 

限界集落を守る応援団が棚田を守る

【47都道府県の秋絶景】昔ながらの飛騨の里山風景 種蔵集落(1)から続く

だんだん過疎化が進み、住人だけでは棚田を守れなくなった。そこで17年前、地元や近隣の有志が集まって「種蔵を守り育む会」を結成。草取りや雪落とし、石積みの補修などを行うようになった。

さらに2018年、飛騨市が「ふるさと種蔵村」という組織を設立し、ボランティアを村民として募集。1年を通して景観保全作業やイベントを行っている。10月29・30日には「飛騨種蔵新そばまつり」がある。

種蔵村村長で、育む会のメンバーでもある、集落住民の荒谷勇さんは「宿泊施設もできて、多くの人が訪れるようになりました。地域の文化も伝えたいと、昔あった炭焼き小屋なども再建しています」と話す。

屋根裏で養蚕を営んでいたため、民家の多くが3階建ての広い造り
種蔵集落に住む荒谷勇さん

この景観と暮らしに惹(ひ) かれ、移住した人もいる。千田(せんだ)陽子さんは「こんないい場所がなくなっちゃったら嫌だと思った」と8年前に県内から移住を決意、空き家を譲り受け自然農法で作物を育てている。

「今朝は板倉の上に虹が出ていて、あまりきれいなんで写真を撮っていたら、待ち合わせに遅れちゃった」と笑う。

朝は、山肌に次々と朝霧が浮かび、ゆらゆらと形を変えながら移動していく。秋が深まれば、山肌が赤や黄色に染まり、針葉樹の緑とのコントラストが美しいそうだ。

見る人の心を打つ里山の風景は、暮らしの中で生まれ、育まれてきた。今棚田には米に加え、ソバやミョウガ、エゴマなどが育っている。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

 

種蔵集落周辺 立ち寄りたい店

飛騨産直市そやな 

道の駅アルプ飛騨古川構内に2022年7月にオープン。地元飛騨の新鮮野菜や果物、特産品などを販売。飛騨の地酒、飛騨牛の加工品など土産類も豊富。飛騨に欠かせない食材エゴマたっぷりの五平餅も食べられる。

■8時~17時/年末年始休/高山線飛騨古川駅から車で5分/TEL:0577-57-8998

※掲載時のデータです。

 

めん処 ほりのうえ

飛騨産直市そやなの隣のメニュー豊富なめん処。和風あっさりスープで自家製麺を使った飛騨中華そば(650円)が食べられる。

■11時~13時30分/不定休/高山線飛騨古川駅から車で5分/TEL:0577-73-2950

※掲載時のデータです。

 

ほっか煮 さわ

アユやイワナを甘露煮にした飛騨の保存食「ぼっか煮」の製造販売を行う。飛騨市の伝承作物「種蔵紅かぶ」の漬物など、直売所ならではの名産品も多数。

■8時30分~17時/日曜、祝日休/高山線飛騨古川駅から車で25分/TEL:0577-63-2173

※掲載時のデータです。


種蔵集落

ココが「絶景」! 山を背にして石積みの棚田に板倉が点在する風景は一枚の絵のよう。朝霧や夕焼けなど時間や天候によって、山々や棚田が刻一刻と姿を変えるさまも美しい。山に囲まれた集落全体を見下ろせる道もあり、まさに日本の原風景に出合える。

交通:高山線飛騨古川駅から車で40分/中部縦貫道高山ICから33キロ
問お合わせ:宮川振興事務所 TEL:0577-63-23

(出典:「旅行読売」2022年11月号)
(Web掲載:2023年9月25日)

☛飛騨市、岐阜県など東海エリアへのツアーはこちら

☛にっぽんの秋を彩る紅葉特集はこちら


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています