【私の街の路面電車】日本最古の現役車両「モ161形」が走る 阪堺電車
高層ビル「あべのハルカス」をバックに走るモ161形車両
〝ちん電〟で行く戦国武将ゆかりの町
大阪市南部と堺市を2路線で結ぶ阪堺電車は、「大阪馬車鉄道」を前身として1900年に開通した。大阪で初詣と言えば、沿線に鎮座する「すみよっさん」。住吉大社への参拝客輸送も開設の目的だ。
1928年生まれの「モ161形」は日本最古の現役車両で、例年秋から春に運行されている。2021年に地元の人や鉄道ファンから約1400万円の寄付を得て、大規模修繕を実施した。目標の2倍近い寄付金が、鉄道愛の深さを物語る。
天王寺駅前から通称〝ちん電〟に乗り、まず訪ねたのは妙國(みょうこく)寺 。本能寺の変の際、徳川家康が滞在したと伝わる古刹(こさつ)だ。火縄銃の産地・堺は戦国武将の逸話も多い。文化観光施設「さかい利晶(りしょう)の杜(もり)」も見逃せない。織田信長や豊臣秀吉に仕えた茶人・千利休について学べる。締めくくりは和菓子店「かん袋(ぶくろ)」に立ち寄って、名物の氷くるみ餅を味わおう。
文/北浦雅子
■モデルコース
<天王寺駅前>
↓27分
<妙国寺前>
妙國寺
↓7分
<宿院>
さかい利晶の杜
↓2分
<寺地町>
かん袋
阪堺電車沿線の見どころ
1562年、日蓮宗の日珖(にっこう)が開山。「蘇鉄の枯山水」庭園には千利休の寄贈とされる灯籠も。
■10時〜16時30分/年末年始休/400円(ガイド付き)/妙国寺前停留場から徒歩5分/TEL:072-233-0369
※掲載時のデータです。
堺出身の千利休と与謝野晶子を通じて、堺の歴史や文化を体験できるミュージアム。町歩きの拠点にも最適。
■9時〜17時30分(茶の湯体験施設10時〜17時)/第3火曜(祝日の場合は翌日)休/300円/宿院停留場からすぐ/TEL:072-260-4386
※掲載時のデータです。
鎌倉時代末期を起源とする和菓子店。お餅をあんにくるんで食べる「くるみ餅」と、上にかき氷をのせる「氷くるみ餅」が名物だ。
■10時〜17時(売り切れ次第終了)/火・水曜休(祝日の場合は営業)/寺地町停留場から徒歩2分/TEL:072-233-1218
※掲載時のデータです。
阪堺電車
●開業:1900年
●営業距離:18.3キロ
●停留場数:40
●お得なきっぷ
「てくてくきっぷ」:600円。1日フリー乗車券。
「トリップチケット」:600円。1日乗り放題のチケットに、特典が付いたデジタル乗車券。
「堺おもてなしチケット 阪堺拡大版」:700円。阪堺電車全線と南海バスの堺市内(指定エリア)が1日乗り放題。
●問い合わせ:阪堺電気軌道/TEL:06-6671-3080
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年9月号)
(Web掲載:2023年10月13日)