【天空の紅葉旅】三段紅葉を見に白馬へ(2)
栂池自然園の高層湿原の秋景色。三段紅葉を眺めながら草紅葉の中を歩く
高層湿原をのんびりと散策し、秋の気配を感じる
宿は、白馬マウンテンハーバーと白馬駅を挟んで反対側の丘の上に立つ白馬ハイランドホテルにとった。ここも、客室や浴室からの眺望が素晴らしい。谷あいに広がる山里の向こうに、白馬ジャンプ競技場や白馬八方尾根スキー場、さらに右手に白馬三山が連なる。副支配人の坂爪朋子さんは「やはり三段紅葉が見られる10月がおすすめです」と話す。
翌朝は少し早起きして隣の小谷(おたり)村にある栂池(つがいけ)自然園へ。ゴンドラリフトとロープウェイで標高1829メートルの自然園駅に着くと、雲が多かったこともあり、気温19度と長袖シャツでも少し肌寒いほどだ。栂池ビジターセンターの猪股崇志さんに園内の植物などについて話を聞く。「9月末から湿原の草紅葉が色付き始め、10月になると山のダケカンバやカエデなどが次々と黄色や赤に彩られていきます」。標高700メートルの麓と北アルプス山頂では約2200メートルの高低差があるため、9月から11月と長期間にわたって紅葉シーズンを楽しめるのもこのエリアの特長だという。まさに〝紅葉パラダイス〟と言えそうだ。
入り口近くのミズバショウ湿原から散策をスタート。野鳥のさえずりと小川のせせらぎを聞きながら、群舞するトンボに導かれるように湿原の奥へ奥へと歩を進める。約3時間かけて木道コースを一周し、園内の四つの高層湿原を巡った。標高2010メートルの展望湿原では、好天なら目の前に望めるという白馬大雪渓の絶景を楽しみに待ったが、残念ながら次々に湧き出してくる雲に遮られて見ることはできなかった。
下りの山道で、木々の緑の中に赤く染まったナナカマドを見つけた。思いの外、少しずつだが秋は近づいてきているのかもしれない。展望台からは、出発地点のビジターセンターや栂池山荘がはるか遠くに見渡せた。北アルプスの眺望を目にすることはかなわなかったが、夏の湿原の爽やかさを満喫することはできた。秋に再び訪れたら、北アルプスの自然が織り成す三段紅葉を心ゆくまで味わいたいものだ。
文/山脇幸二 写真/阪口 克ほか
栂池高原駅からゴンドラリフトとロープウェイを乗り継ぎ、約40分で到着する。整備された木道の散策コースは1周3時間30分~4時間で、多種多様な高山植物を観察できる。標高2010メートルの展望湿原からは北アルプスの雪渓や山々の紅葉を間近に望める。
■8時~16時10分(季節により異なる)/夏季営業は10月22日まで/3700円(ゴンドラリフトとロープウェイ往復、入園料込み)/白馬駅からバス27分、栂池高原下車すぐ/TEL:070・4091・5204(栂池ビジターセンター)
紅葉旅の宿
源泉100%の白馬姫川温泉は宿泊者用のわらび平の湯と日帰り用の天神の湯(11時~18時、800円)があり、露天風呂から白馬連峰を見渡せる。7月からは屋上に絶景サウナがオープンした。夕食、朝食とも地元野菜などを使った郷土色豊かなバイキングを味わえる。
¥1泊2食1万3800円~
交大糸線白馬駅から徒歩15分/上信越道長野ICから県道31号経由55キロ
住白馬村北城21582
TEL:0261・72・3450
館内の天然温泉「古民家の湯」では湯船につかりながら、ゆったりと窓から敷地内の木々や北アルプスの山並みの紅葉を堪能できる。日帰り入浴は13時~16時で、1500円。料理は地元産食材を多用した色彩豊かな創作フレンチのコースを楽しめる。
¥1泊2食1万8700円~
交大糸線白馬駅から送迎バス15分/上信越道長野ICから県道31号経由60キロ
住白馬村北城14863-6
TEL:0261・72・3250
長野冬季五輪の会場となった白馬八方尾根スキー場や白馬ジャンプ競技場から近く、冬はスキーヤーに人気の宿。客室やラウンジから白馬三山の迫力ある眺望を楽しめる。洋室、和室、グループ用和室など客室はバリエーション豊富だ。白馬八方温泉はアルカリ性単純温泉。
¥1泊2食1万3000円~
交大糸線白馬駅からバス5分、白馬八方バスターミナル下車徒歩3分/上信越道長野ICから県道31号経由54キロ
住白馬村北城5196
TEL:0261・72・7311
※掲載時のデータ
(出典「旅行読売」2023年10月号)
(Web掲載:2023年9月28日)