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【青春18きっぷでできること】乗り換え不要の長距離普通列車で、高尾駅から長野駅まで245キロ(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 八王子市、甲州市、千曲市、長野市
【青春18きっぷでできること】乗り換え不要の長距離普通列車で、高尾駅から長野駅まで245キロ(2)

善光寺平の夜景を見ながら走る篠ノ井線

 

姨捨駅で途中下車。「日本三大車窓」の夕景に見入る

【青春18きっぷでできること】乗り換え不要の長距離普通列車で、高尾駅から長野駅まで245㌔(1)から続く

諏訪湖畔をかすめて松本に着いたのは17時31分。すでに3時間が経過したが、それほど疲れは感じない。ボックスシートもある車両だったので、空いている時は足を伸ばしてリラックスできたためだろうか。「441M」はロングシートのみの列車編成となる場合もあり、こればかりは運次第だ。ちなみに先頭と最後尾車両にトイレが付いている。

列車は篠ノ井線を北上。篠ノ井線は単線で、森が迫りトンネルが続きローカル色が濃くなった。4時間も走れば、車窓も客層も体感温度も変わるのは当然のこと。日が傾き少し冷えてきたので上着を羽織った。

今回は、高尾駅から4時間7分の姨捨(うばすて)駅で途中下車することにしていた。姨捨駅から見る善光寺平の眺めは、「日本三大車窓」の一つ。その夜景を楽しむには絶好の時間、18時16分に到着するからだ。人影のない無人駅に降りると、空は薄暮から闇夜へと生き物のように色を変え、街の明かりは次第に輝きを増した。やがて漆黒の夜空に包まれると、「姨捨の夜景」が完成した。

姨捨駅ホームから見た夜景。輝く街の明かりに郷愁を誘われる
駅舎は2010年に昔の面影を残してリニューアルされた

4時間もかけてこの場所へ運んでくれた「441M」の姿はもうない。速さと引き換えに失った「鉄道旅の神髄」、言わば「旅の濃度」を教えてくれた列車に感謝しながら、飽きることなく夜景に見入った。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

 

昼間に姨捨駅を訪ねるなら①「おばすて くつろぎの駅」

姨捨駅舎内で「おばすて くつろぎ友の会」のスタッフがもてなし、旅行者と地元の人々との交流の場になっている。コロナ禍前まではお茶や漬物なども無料で提供していたが、今後は検討中。来駅記念券(200円)の販売も行っている。

おばすて くつろぎの駅
営業時間:11月23日までの土・日曜、祝日の9時~15時
問い合わせ:TEL026-273-1111(千曲市観光課)

レトロな雰囲気の駅舎内でひと休みしよう

昼間に姨捨駅を訪ねるなら②「姨捨の棚田」

姨捨駅から徒歩10分~20分。巨大な地滑りによってできた扇状の土地に作られた棚田。標高460メートル~550メートルに位置し、眼下に千曲(ちくま)川や善光寺平を一望。繊細な曲線を描く畔(あぜ)も美しい景観作りに一役買っている。姨捨駅から棚田へは急坂が続くので、歩きやすい服装で。飲み物も忘れずに。

姨捨の棚田
問い合わせ:TEL026-273-1111(千曲市観光課)

姨捨の棚田は四季折々に彩りを変える

昼間に姨捨駅を訪ねるなら③「千曲市日本遺産センター」

2020年に姨捨の棚田を含む千曲市内29の文化財とストーリーが「月の都 千曲」として日本遺産に認定された。館内ではVRなどを用いてそのストーリーを解説。国鉄時代の姨捨駅の案内板など鉄道に関する資料も興味深い。イタリアンレストランも併設。道路を挟んで、松尾芭蕉(ばしょう)、小林一茶(いっさ)、伊能忠敬(いのうただたか)らも訪れた長楽寺がある。姨捨駅から徒歩10分。

千曲市日本遺産センター
開館時間:9時~18時
休館日:祝日を除く月曜休、祝日の翌日休
入館料:無料
問い合わせ:TEL026-273-4170

※掲載時のデータです。

姨捨駅の古い案内板
断崖絶壁を背にして立つ長楽寺

観光列車リゾートビューふるさと

リゾートビューふるさと

モデルコースでは長野駅に19時31分に到着するので、そのまま北陸新幹線で帰京してもいい。長旅を楽しむなら、長野に1泊して長野駅からしなの鉄道を経由して飯山線に入り、新潟方面を周遊するのも一案。

篠ノ井線を戻る形になるが、観光列車リゾートビューふるさとの乗車もおすすめだ。9月までの金・土・日曜を中心(8月は6日・15日以外の毎日)に運行し、松本駅から大糸線に入って北アルプスを遠望しながら南小谷駅へ向かう。指定席券(530円)を買えば青春18きっぷでも乗れる。長野を10時4分に出発し、南小谷着14時4分。

※掲載時のデータです。

窓が大きく景色を存分に楽しめるリゾートビューふるさと
姨捨駅では約15分間停車する

※上記モデルコースの交通費:青春18きっぷ1回利用(2410円)で、2760円お得。


(出展:「旅行読売」2023年7月号)

(Web掲載:2023年8月4日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。現在、月刊「旅行読売」編集部副編集長。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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