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【旅する喫茶店】純喫茶アメリカン(大阪)

場所
> 大阪市
【旅する喫茶店】純喫茶アメリカン(大阪)

巨大なシャンデリアと大理石の螺旋階段が見事なエントランス。大理石の曲面部分は加工が難しく、石大工に一度断られたそう

 

昭和の華やかさが息づくミナミの名店

大阪ミナミの繁華街、千日前商店街に、終戦直後の1946年に創業した大阪を代表する喫茶店がある。

店で昔お見合いをした客が孫を連れて来るという、歴史のある華やかな店は、大阪市の「生きた建築ミュージアム」にも選ばれている。

吹き抜けのエントランスに入ると、大理石の螺旋(らせん)階段と壮麗なシャンデリア、モダンな壁のオブジェに目を引かれた。店内は職人技とアート性が光る独創的な空間が広がり、昭和レトロなゴージャス感を味わえる。1階席の壁は高級木材640枚を湾曲させながら貼り合わせてステンドグラスをあしらったもの。天井の花形の照明は近代美術を思わせる。2階席の壁は京都・川島織物の緞通(だんつう)を用いた大胆な柄だ。

1963(昭和38)年に再建したビルは当時の雰囲気が残る
1階席は毎週活ける生花でおもてなし

建物は63年に新築され、1〜2階を喫茶店にした。現在は、山野陸子(むつこ)さん・誠子さんが姉妹で3代目を受け継ぐ。「祖父で創業者の勝次郎は、内装・お出しする商品・サービスの全てにおいて一流にこだわりました」と、その遺志を守り、店を切り盛りしている。

自家焙煎(ばいせん)の豆7種をブレンドしたコーヒーは、濃厚で余韻も見事だ。「最高の食材を使い、手間暇惜しまず手作り」という初代の教えは、コーヒーだけでなく、プリンサンデーやイタリアンスパゲティなどの昭和の喫茶店らしい、昔懐かしいメニューにも引き継がれている。

文・写真/児島奈美

コーヒー600円と、祖父の代から愛されるプリンサンデー930円 ※掲載時のデータです

純喫茶 アメリカン

住所:大阪市中央区道頓堀1-7-4
営業:10 時~ L.O.21時45分(火曜は~ L.O.21時15分)/木曜(毎月約3回)休、年末休
交通:地下鉄御堂筋線・四つ橋線・千日前線なんば駅から徒歩5分
TEL:06-6211-2100

※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2023年10月号)
(Web掲載:2023年10月30日)


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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