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【私の街の路面電車】「喫茶とれいん」で江ノ電愛、鉄道愛を語り合う(1)

場所
> 鎌倉市
【私の街の路面電車】「喫茶とれいん」で江ノ電愛、鉄道愛を語り合う(1)

「喫茶とれいん」のマスター・田中耕二さん。帽子は鉄道会社に勤務していた常連さんから譲り受けたもの

 

マスターは「江ノ電王」。自宅を改装して喫茶店に

江之島電氣鉄道(現・江ノ島電鉄)の開業は明治後期の1902年。全線開通はその8年後で、道路上に敷設された軌道を走る路面電車だった。しかし、第2次世界大戦末期に特例で鉄道事業法に則って運営されるようになって以来、分類上は路面電車ではなく鉄道になっている。距離は短いが道路上を走る区間もあるため、関東で路面電車といえば江ノ電を思い浮かべる人も多いだろう。

1970年代、廃止が取り沙汰されるほど江ノ電は苦境に追い込まれた時期もあったが、テレビドラマの影響などもあってよみがえった。今では沿線が人気アニメの舞台になったことなどで外国人観光客も巻き込み、再びのブームに沸いている。

湘南の爽やかな風を受けながら走る江ノ電

店には近所の高齢者や鉄道マニアが集う

江ノ電開業100周年の2002年にテレビ東京系列の番組「TVチャンピオン」で優勝し、「江ノ電王」の称号を獲得した田中耕二さんが、18年に自宅を改造して喫茶店を開いたと聞き、江ノ電の人気の秘密を探るべく店を訪ねた。その名も「喫茶とれいん」。店は腰越駅から線路沿いを江の島方向に3分ほど歩いて右折した住宅街にあった。

鎌倉市腰越に生まれ育ち、物心ついたときから江ノ電に親しみ、長じて鉄道マニア(撮り鉄)になった田中さんは、通学・通勤に江ノ電を利用し、人生の伴侶ともいえる江ノ電を写真に収めてきた。「小学校の卒業文集に将来の夢を『お店を持ちたい』と書いていました」と話す田中さんが喫茶店を開いたのは、自分の夢を叶えるのと同時に、近所の高齢者や鉄道マニアが集える場所を作りたいという思いがあったからだ。

文/田辺英彦 写真/遠藤 潤

【私の街の路面電車】「喫茶とれいん」で江ノ電愛、鉄道愛を語り合う(2)へ続く

 

店内にはほとんどの江ノ電車両の模型を展示
軟らかめに茹でたスパゲティを炒めて作るナポリタン700円は、懐かしい「おふくろの味」
店は完成な住宅街にある

喫茶とれいん
営業:10時〜16時30分/月・火曜休
アクセス:江ノ島電鉄腰越駅から徒歩3分
住所:鎌倉市腰越3-21-11
問い合わせ:TEL0467-31-3671

※データは取材時のものです。

(出典:「旅行読売」2023年9月号)

(Web掲載:2023年10月14日)

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Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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