五つ星お米マイスター 八代目儀兵衛 橋本隆志さんに聞く「ご飯のおとも10選」(1)
牛トロフレーク(北海道)
橋本隆志(はしもと たかし)
◎京都市出身、八代目儀兵衛社長。五ツ星お米マイスター。同志社大学卒業後、米問屋勤務などを経て、(株)八代目儀兵衛を設立。米のコンテスト「お米番付」開催など業界を盛り上げるお米プロデューサー。2020年、テレビ東京系列「カンブリア宮殿」に出演。
肉あり海産物あり野菜あり、豊かなバリエーションと地域性
新米の季節、“米は米屋”にということで、江戸時代の寛政年間から続く京都の米の卸売・小売店を訪ね、八代目儀兵衛代表の橋本隆志さんに、おいしい「ご飯のおとも」と「お米の炊き方」を聞いた。五ツ星お米マイスターが自信を持っておすすめする10品とは――。
「八代目儀兵衛(ぎへえ)」の橋本隆志社長が選んだ「ご飯のおとも」は、北海道から沖縄まで、肉あり海産物あり野菜ありと、バリエーションと地域性豊かな10品。選定基準について橋本さんは次のように話す。
「素材の味が生かされている品です。化学調味料や甘味料は口の中、舌に残って存在を主張します。そういう余計なものをなるべく使わず、素材本来の味や風味が感じられ、ご飯の味となじむ『おとも』を選びました。相乗効果で、さらにご飯がおいしく感じられるはずです」
八代目儀兵衛が研究を重ねて生み出した自社商品「しおのり」「ちりめん山椒」も入っている。前者はゴマ油が香ばしい韓国のりに着想を得た一品。代わりに米油で焼き上げ、ほんのり甘い塩を振っている。後者は京都の各家庭に伝わる定番料理を洗練させて商品化。どちらも京都らしい上品な味付けで、ご飯の味を邪魔しない。
橋本隆志さん 私のお気に入り
橋本さんイチオシは牛とろフレーク。北海道十勝の牧場で育った牛の肉を凍らせフレーク状に加工している。凍ったままのピンク色のフレークを炊きたてご飯にふりかけると、熱で溶けて肉が赤みを帯びる。しょうゆダレをかけて頬張ると、舌触り滑らかな牛肉、その脂をまとった米が一体となり、味を引き締めるタレに味負けしない、大トロの寿司のような高級感のある甘みが口の中に広がる。これぞ、橋本さんが言う「脂との融和」「ご飯とおとものハーモニー」だろう。
岩手の三陸海宝漬(さんりくかいほうづけ)は、王道らしい安定感のあるおいしさ。食感や味が異なるメカブ、イクラ、アワビがご飯と調和して、ちょうどいい塩気とメカブのとろみに押され、あっという間に一膳平らげた。
文/福﨑圭介 写真/宮川 透ほか
五つ星お米マイスター 八代目儀兵衛 橋本隆志さんに聞く「ご飯のおとも10選」(2)へ続く(11月22日公開予定)
「お米マイスターとは?」
一般財団法人日本米穀商連合会が主宰する、米に関する幅広い知識を持つ専門家認定資格。米の特性(品種、精米、ブレンド、炊飯)を見極めることができ、その米の特長を生かした商品作りと、その米の良さを消費者に伝えることができる者。知識試験に合格した三ツ星お米マイスター、技能試験にも合格した五ツ星お米マイスターがある(認定数は2021年6月時点で三ツ星2189人、五ツ星446人)。米穀小売業に5年以上従事している者など受験資格がある。
※料金等すべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2021年11月号)
(Web掲載:2023年11月21日)