【旅と駅弁・駅麺】話題の新型列車スペーシアXと宇都宮LRTに乗る旅(2)
普通列車もグリーン券を買ってグリーン車に乗れば駅弁が食べやすい。ハイボールを飲みながら燻煙香箱をいただく
やすこーん
青森県生まれ。2008年の「寝台特急はやぶさ」乗車をきっかけに「乗り鉄漫画家」として活動。駅弁・駅そばのイラストエッセーを描き、テレビやラジオにも出演。著書に『おんな鉄道ひとり旅』(小学館)、『メシ鉄!!!』(集英社)、『やすこーんの鉄道イロハ』(天夢人)など。
懐かしい駅そば「きそば」の味を求めて
【旅と駅弁・駅麺】話題の新型列車スペーシアXと宇都宮LRTに乗る旅(1)から続く
宇都宮駅の松迺家(まつのや)売店で駅弁を購入し、再びJRに乗車。途中下車した小山駅12・13番線ホームには、昨年1月に惜しまれながら閉店した駅そば店「きそば」の佇(たたず)まいが残っていた。経営していた中沢製麺が作る麺・つゆ・天ぷらを仕入れ、現在「きそば」として出しているのが、駅から歩いて7分ほどの「小山に帰ってきた!きそば」だ。注文した天ぷらそばをすすると、かつて小山駅で食べたあの味が蘇(よみがえ)ってきた。少し太めの麺、黒いつゆ、サバ節とウルメ節が中心のだし。やはり駅そばとして味は群を抜いている。店主にまた来ることを約束し、駅に戻った。
今度は小山駅からコミュニティバスで約15分、「小山思川(おもいがわ)温泉」で温泉につかる。まだ日は高いが、ここは明るいうちに来たい。というのも、露天風呂の前に開ける思川の眺めが見事なのだ。泉質は弱アルカリ性の単純温泉で、自噴しているところも気に入っている。
燻製肉専門店とコラボした新作駅弁「燻煙香箱」
2時間ほど温泉で過ごし、小山駅に戻る。ハイボールを買って上野東京ラインのグリーン車で帰路についた。宇都宮駅の駅弁「燻煙香箱」は開けた途端、燻製のよい香りが鼻をくすぐる。昨年末、松廼家は宇都宮駅前から益子(ましこ)町に移転した。この駅弁は、益子町の手作り燻製ハム・ソーセージ・ベーコンの専門店「とん太ファミリー」とコラボした新作弁当だ。「自信作ができた」と聞いた通り、燻製がおいしいのはもちろん、わさび菜や卵もいい塩梅。東京までの1時間20分、これらをつまみながら呑(の)むことにしよう。
今回の旅は、まだ食べたことのない駅弁「点」と、ちょうど乗りたかった新型車両が「線」となって結んだ、理想的な日帰り旅となった。
文/やすこーん 写真/坪内政美
【日帰りモデルコース】
浅草駅
↓ 7:50発
東武伊勢崎線・日光線(スペーシアX)
↓ 9:39着
東武日光駅
↓ 徒歩すぐ
JR日光駅
↓ 10:34発
日光線
↓ 11:16着
宇都宮駅
↓ 12:55発
宇都宮線(湘南新宿ライン)
↓ 13:21着
小山駅
↓ 17:42発
宇都宮線(上野東京ライン)
↓ 18:59着
上野駅
※土曜、休日用ダイヤ
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2024年1月13日)