【旅と駅弁・駅麺】話題の新型列車スペーシアXと宇都宮LRTに乗る旅(1)
「スペーシアX日光埋蔵金弁当」の容器と金色のスコップ、ナイフはぜひ持ち帰りたい
やすこーん
青森県生まれ。2008年の「寝台特急はやぶさ」乗車をきっかけに「乗り鉄漫画家」として活動。駅弁・駅そばのイラストエッセーを描き、テレビやラジオにも出演。著書に『おんな鉄道ひとり旅』(小学館)、『メシ鉄!!!』(集英社)、『やすこーんの鉄道イロハ』(天夢人)など。
スペーシアXのプレミアムシートで日光へ
旅の合間に駅弁を食べるのではなく、駅弁そのものが旅の目的になったのはいつからだろう。駅弁を「点」とするならば、点と点をつないだ「線」が旅の行程となる。今回の旅は車両も駅弁も新しいものずくめの、栃木を巡る日帰り旅だ。
出発の東武鉄道の浅草駅から、今年7月15日にデビューした新型車両「スペーシアX」に乗車し、東武日光駅へ向かう。プレミアムシートは大人気で発売と同時にすぐ埋まるが、たまたま2日後の乗車分に空きが出た。入線してきた車両はピカピカで、車体の白と窓のX型が非常に目を引く。2列+1列に並ぶプレミアムシートは、東武鉄道初となる電動リクライニングシートで快適だ。
スペーシアXをかたどった「スペーシアX日光埋蔵金弁当」
1号車にはカフェカウンターもある。乗車後30分ほどで予約案内があり、すかさずスマホで時間指定の整理券を取ったが、3分で完売。日光ビールを注文し、席に戻ってゆっくり飲みながら景色を楽しんでいるうちに、終点の東武日光駅に到着した。
駅売店で「スペーシアX日光埋蔵金弁当」を買う。「スペーシアX」をかたどった容器は実物そっくりに作られており、付属の金色のスコップとナイフには「SPACIA X」と刻印されていた。中身は二つの箱寿司で「日光鱒寿(ますずし)」は、最高級のマスの背の部分だけを使用し、シャリの中に生ゆばも入る。「極上ちらし寿司」の大変珍しいマスのでんぶは、この駅弁のために考案された。シャリはどちらも利尻産の天然昆布と清酒を使って炊き上げ、大変味わい深い。「スペーシアXの豪華さをイメージした極上のものを楽しんでほしい」と製造元・日光鱒鮨本舗の田村公一さんは言う。
歩いてすぐのJR日光駅から日光線で宇都宮駅へ。ここを走るE131系も導入されてまだ2年半。車内は外国人観光客であふれていた。活気が戻ってきているのはうれしい。
宇都宮では、これも今年8月26日に開業した「宇都宮LRT(エルアールティー)」に乗った。新規の路面電車としては75年ぶり、全線新設LRTとしては国内初となるらしい。宇都宮駅東口を発車すると、車両はなめらかに動き出した。カーブで揺れることもなく、音も静かで驚く。宇都宮ライトレールの本社がある平石駅で下車し、柵越しに車両基地を見てから引き返した。
文/やすこーん 写真/坪内政美
【旅と駅弁・駅麺】話題の新型列車スペーシアXと宇都宮LRTに乗る旅(2)へ続く(1月13日公開予定)
【日帰りモデルコース】
浅草駅
↓ 7:50発
東武伊勢崎線・日光線(スペーシアX)
↓ 9:39着
東武日光駅
↓ 徒歩すぐ
JR日光駅
↓ 10:34発
日光線
↓ 11:16着
宇都宮駅
↓ 12:55発
宇都宮線(湘南新宿ライン)
↓ 13:21着
小山駅
↓ 17:42発
宇都宮線(上野東京ライン)
↓ 18:59着
上野駅
※土曜、休日用ダイヤ
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2024年1月12日)