【私の初めてのひとり旅】友近さん 下呂温泉、道後温泉(2)
道後温泉には強い郷土愛がある。道後温泉別館「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」で
ともちか [タレント]
1973年、愛媛県出身。2000年にお笑い芸人としてデビュー。架空のキャラクターになりきるコントが得意で、歌手「水谷千重子」やプロアルバイター「西尾一男」のシリーズが人気。女優としても映画、舞台、テレビドラマなどで幅広く活躍。19年には映画「噓八百」(18年公開)で第28回日本映画批評家大賞助演女優賞を受賞した。23年、明治座・博多座で水谷千重子座長公演を興行した。
地元の良さをアピール 芸人仲間をおもてなし
【私の初めてのひとり旅】友近さん 下呂温泉、道後温泉(1)から続く
下呂のほかにも温泉はたくさん行きますが、やはり生まれ故郷の道後温泉はひいき目じゃなく素晴らしいなと思います。今も月1回は地元に帰り、実家ではなく道後温泉に泊まるっていうのをやっています。寂れたり廃業になったりしたホテルをリニューアルし、近代的になった中にも和の要素が入っていて、女性が好むものを考えていますね。コンパクトな街なので、海や山がそばにあり、空港からも近く、路面電車が走っているのもいいですね。
愛媛や道後温泉の良さをいろんな人に知ってほしいと、芸人仲間を連れて行くこともあります。〝友近ツーリスト〞みたいに、きっちりスケジュールを決めてお連れするんですけど、みんな喜んでくれます。温泉はここ、食べるところはここ、これに乗ってここへ行くとか、私が選んだプランで人に満足してもらいたいっていう気持ちが強いんです。
大学卒業後、道後温泉の旅館で仲居さんをしていたこともあります。テレビの2時間ドラマが好きで、現場を見てみたかったんです。仲居さんが事件を目撃したり、巻き込まれたり、そういう世界も面白そうだなと。お茶や浴衣を持っていく時にお客さんの服装やしゃべり方とかを観察したりしていました。でも、実際はその時の経験よりも、客として温泉に行った時に会った仲居さんや女将さんをネタの参考にさせてもらうことの方が多いですね。
旅先の景色がネタに生かされることもあります。荒波とか、灯火(ともしび)とか、棚田とか、そんな風景を見ると、自分の中で何曲かBGMがあって、ドラマチックな曲や寂しくなるような曲を流しながらその場でナレーションを付けたりするんです。そうやって即興コントや即興芝居ができたりしますね。そんなことは、ほかに誰かいるところではなかなかできませんからね。
今は地方の仕事をたくさん入れていて、東京にいるのは月の半分ほどです。旅行気分で仕事ができるのでよいですね。好きな仕事、いい旅というのはストレスがたまらないし、病気にもかからないような気がしています。
話・写真/友近
聞き手/山脇幸二
(出典:「旅行読売」2024年2月号)
(Web掲載:2024年2月8日)