世界遺産登録を目指す黄金の佐渡島へ(2)【泣けるひとり旅】
トキの森公園内の資料展示館には、最後の純国産トキとなったキンの剥製を展示
金銀の輝きを、トキは空から見ていた?
世界遺産登録を目指す黄金の佐渡島へ(1)【泣けるひとり旅】から続く
佐渡島のもう一つの象徴は、特別天然記念物のトキだろう。純国産のトキは、「キン」と呼ばれた最後の1羽が2003年に死んで絶滅したが、その4年前に、中国産トキの人工繁殖に成功。やがて子孫が数を増やし、現在、屋外に生息するトキは約530羽にまで回復している。
そんなトキをひと目見たくなり、両津港から8キロほどの「トキの森公園」を訪ねた。園内の「トキふれあいプラザ」は、トキが飛翔できる広いゲージ内に田んぼや小川などが再現されている。この日は運良くトキが好物のドジョウを捕まえる瞬間を目撃できた。
「トキの個体数を増やせた要因の一つは地元農家の努力です。トキは田んぼを餌場にしています。農薬を控えたり、田んぼの水を抜く時期に田んぼの生き物が避難できる江(え<水辺>)を作ったりして、トキが暮らしやすい環境を維持しています」と、佐渡市農業政策課トキ・里山振興係土屋智起さんは語る。1枚の写真を見せてもらった。学校へ向かう小学生たちの近くで、トキが安心して羽を休めているシーンだ。一度は失われた光景が地元の努力で取り戻されつつある。心から拍手を送りたくなった。
島からの帰路はカーフェリーを選んだ。2等船室で寝転べるだけでなく、デッキやレストランなどを自由に行き来でき、船旅気分に浸れるからだ。
銅鑼の音が響き、いざ出港。白い航跡の奥に見える島が、ゆっくりと小さくなっていく。これまで、どれほどの人が同じ光景を見たのだろう。ある者は歓喜の涙を流し、またある者は無念の涙を流しながら……。
文・写真/内田 晃ほか
🔳モデルコース
両津港
↓レンタカー25キロ
きらりうむ佐渡
↓レンタカー3.5キロ
史跡佐渡金山
↓レンタカー2キロ
史跡佐渡奉行所跡
↓レンタカー1キロ
相川<泊>
↓レンタカー22キロ
トキの森公園
↓レンタカー3キロ
鮨 長三郎
↓レンタカー10キロ
両津港
ひとり泊歓迎の宿
いさりびの宿 道遊<佐渡金山温泉郷相川温泉>
島の恵みでのもてなしを心がける。食事は近海の魚介類や無農薬・無化学肥料の農産物、天然醸造の調味料を使った手作り料理。風呂は無色透明の温泉だ。全客室が日本海に面している。
【ひとり泊データ】
通年可/1泊2食1万2250円〜/トイレ付き8畳和室/両津港からバス1時間、きらりうむ佐渡下車送迎5分(要予約)(佐渡市相川鹿伏333-1)/TEL:0259-74-3381
夕日と湖の宿あおきや<椎崎温泉>
加茂湖畔の高台に立つ温泉宿。全客室から湖を望む。風呂は「水鏡の湯」と「夢幻の湯」があり、男女入れ替え制。夢幻の湯には総ヒノキ風呂、露天風呂テラスなどがある。
【ひとり泊データ】
繁忙期を除く/1泊2食1万6650円〜/トイレ付き7.5畳和室/両津港から送迎5分(要予約)(佐渡市原黒685)/TEL:0259-27-4145
佐渡の味の人気店
4代続く人気店。魚市場の入札権を持ち、高品質の魚介類をお手頃価格で提供している。すしをはじめ、ラーメン、丼もの、カレーなど多彩なメニューも人気の秘密だ。黄金色のラーメンスープは別々の鍋で鶏ガラと野菜のだしをとり、最後に合わせる。あっさりした味わいで、中細の麺とよく合う。
■11時〜14時30分、17時〜20時30分/不定休/両津港からバス20分、新穂下車徒歩3分/TEL:0259-22-2125
トキの森公園
営業:8時30分〜16時30分/無休(12月〜2月は月曜休)/400円(協力費)
住所:佐渡市新穂長畝383-2
交通:両津港からバス25分、トキの森公園下車すぐ/両津港から8キロ
問い合わせ:TEL:0259-22-4123
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(Web掲載:2024年5月12日