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越信行 涙なくして語れない 駅の物語(2)【泣けるひとり旅】

場所
越信行 涙なくして語れない 駅の物語(2)【泣けるひとり旅】

北の玄関口上野駅

 

駅旅写真家・越信行

ひとり、列車を待ったあの駅が忘れられない。みなさんにも、そんな思い出や経験はありませんか?なかにはもう消えてしまった駅もあることでしょう。駅旅写真家の越 信行さんが、駅舎の過去、現在に思いをはせ、心震えた駅を紹介します。


越信行 涙なくして語れない 駅の物語(1)【泣けるひとり旅】から続く

駅へ出向いてみると、いろいろな思いが浮かんでくる。「この桜は誰が植えたのだろう?」「奇妙な駅舎はなぜできたのか?」「この町の様子ってどんな感じなんだろう?」などなど枚挙にいとまがない。

もちろんインターネットが普及した現在、現地に行かずとも得られる情報はたくさんある。しかし、その場所に赴いてみないと触れることができない風土や数々のドラマが潜んでいることも確かだ。時には涙なくしては語れない物語に出合えたりする。

人を送り迎えする駅にはそうした「人々の特別な思い」が数々のエピソードとともにたくさん詰まっているのだろう。これからも育まれ続けていくたくさんの物語を探しに、出かけたいと思っている。

文・写真/越 信行

東北線ほか 上野駅(東京)/石川啄木が「ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場(ば)の人ごみの中にそを聴きにゆく」と詠んだ北の玄関口。昔のたたずまいを残すターミナル駅には、涙なくして語れないドラマが潜んでいる
  
甘木(あまぎ)鉄道太刀洗(たちあらい)駅(福岡)/戦闘型飛行機が展示された世にも奇妙な駅。その駅舎の中には、第2次世界大戦末期に「神風特攻隊」として戦地へ向かう兵士たちを見送った地下通路が、ひっそりと眠っている
和歌山電鐵 貴志(きし)駅(和歌山)/駅長からスーパー駅長へ昇格した “たま”への報酬として建てられた、猫の顔を模した全国唯一の桧皮葺きの駅舎。廃止寸前だった窮地のローカル線を救った“たま”は、2015年に天国へ。今も駅舎のどこかで、貴志線の未来を見守っているに違いない
わたらせ渓谷鐵道 上神梅(かみかんばい)駅(群馬)/鉱山からの貨物輸送を目的として造られた旧足尾鉄道の駅。傾いてもなお残る木造の改札口が100年の時の流れを語り伝える

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(WEB掲載:2024年5月30日)


Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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