越信行 涙なくして語れない 駅の物語(1)【泣けるひとり旅】
三陸鉄道 三陸駅(岩手)/東日本大震災で風景は一変。復興に向けてか、駅の周りに新たに植えられたシダレザクラの向こうには防潮堤がそびえる。かつてこの地で見た、越喜来(おきらい)湾へと続く小さな町並みの美しい光景が思い出された
ひとり、列車を待ったあの駅が忘れられない。みなさんにも、そんな思い出や経験はありませんか? なかにはもう消えてしまった駅もあることでしょう。駅旅写真家の越 信行さんが、駅舎の過去、現在に思いをはせ、心震えた駅を紹介します。
列車から眺める車窓は時間とともに流れて行ってしまうが、駅は廃止されることがない限り、いつもその場所に存在し、人や列車を見送り、出迎え続ける。駅を「人生の交差点」と言う人もいるが、流れ行く車窓以上に、駅の光景は記憶として残り続けるからではないだろうか。こんなエピソードを読んだことがある。「もの悲しい駅のベンチに座る老夫婦。旅人が尋ねると、遊びに来る孫を待っているという。老夫婦にとってこの駅には特別な思いがあった。妻を迎えたのも、最愛の娘を見送ったのもこの駅だった……」
文・写真/越 信行
越信行 涙なくして語れない 駅の物語(2)【泣けるひとり旅】へ続く(5/30公開)
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(WEB掲載:2024年5月29日)