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越信行 涙なくして語れない 駅の物語(1)【泣けるひとり旅】

場所
越信行 涙なくして語れない 駅の物語(1)【泣けるひとり旅】

三陸鉄道 三陸駅(岩手)/東日本大震災で風景は一変。復興に向けてか、駅の周りに新たに植えられたシダレザクラの向こうには防潮堤がそびえる。かつてこの地で見た、越喜来(おきらい)湾へと続く小さな町並みの美しい光景が思い出された

 

駅旅写真家・越信行

ひとり、列車を待ったあの駅が忘れられない。みなさんにも、そんな思い出や経験はありませんか? なかにはもう消えてしまった駅もあることでしょう。駅旅写真家の越 信行さんが、駅舎の過去、現在に思いをはせ、心震えた駅を紹介します。

 

列車から眺める車窓は時間とともに流れて行ってしまうが、駅は廃止されることがない限り、いつもその場所に存在し、人や列車を見送り、出迎え続ける。駅を「人生の交差点」と言う人もいるが、流れ行く車窓以上に、駅の光景は記憶として残り続けるからではないだろうか。こんなエピソードを読んだことがある。「もの悲しい駅のベンチに座る老夫婦。旅人が尋ねると、遊びに来る孫を待っているという。老夫婦にとってこの駅には特別な思いがあった。妻を迎えたのも、最愛の娘を見送ったのもこの駅だった……」

文・写真/越 信行

越信行 涙なくして語れない 駅の物語(2)【泣けるひとり旅】へ続く(5/30公開)

旧三江(さんこう)線 川戸(かわど)駅(島根)/2018年に廃止になった三江線。絵に描いたような昔ながらの改 札口の先で、毎年春に花を咲かせる桜が1本。この改札口を抜け て旅立った人にとって、今も思い出の桜になっていることだろう。
肥薩(ひさつ)線 人吉(ひとよし)駅(熊本)/2020年に発生した熊本豪雨によって運休を余儀なくされ た人吉駅。にぎわっていたホームや機関庫に人影や列車の姿 はなく、改札外でみどりの窓口だけがひっそりと営業を続け ている。いつか活気が戻ることを願ってやまない。
津軽鉄道 津軽飯詰(いいづめ)駅(青森)/作家・太宰治の故郷、津軽地方を行くローカル線の無人 駅。駅員がいなくなった改札窓口で、紙粘土で作られた「走 れメロス号」が、斜陽の中で乗客たちを迎えていた

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(WEB掲載:2024年5月29日)


Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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