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富士山からの清冽な伏流水が湧き出す「水の都」を歩く 三島駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

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> 三島市
富士山からの清冽な伏流水が湧き出す「水の都」を歩く 三島駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

中郷温水池。冷たい伏流水を温めて農地へと流すため池で、雄大な富士山が見られる(写真/三島市)

 

源兵衛川の川面をゆく

富士山からの清冽な伏流水が湧き出す「水の都」を歩く 三島駅から(1)【駅から歩こう1万歩】から続く

「三島梅花藻(ばいかも)の里」では、ミシマバイカモを間近で観賞できる。ミシマバイカモは楽寿園の小浜池で発見され、梅の花のような小さな白い花を咲かせる。冷たくきれいな湧水かつ流水でしか育たないといい、かれんな花に心が洗われる。

そのまま南下していくと中郷温水池に到着する。富士山のビュースポットで、霊峰が目の前に迫り来る絶景が楽しめる。

今度は源兵衛川を遡ってみよう。中流に位置する水の苑(その)緑地には、カワセミも生息しているとか。

三島梅花藻の里では花が咲いていた
その近くにある雷井戸では、くみ上げた水の冷たさを体感することができる
水の苑緑地。周辺は住宅街で閑静な公園。デッキや遊歩道がある

昼食は名物のうなぎを食べたい。三島広小路駅近くの「うなぎ 桜家(さくらや)」は地元で有名な老舗だ。富士山の伏流水にうなぎを3~4日さらすことで、臭みが取れる。白焼きはふんわりととろけそうな中に上品なうまみを感じられる。うな重は備長炭で焼き上げたうなぎの照りが美しく、さっぱりと甘すぎないタレでご飯が進む。

ちなみに、三島市の水道は地下水が水源といい、「お米を炊くとおいしさを実感できます」と三浦さん。

源兵衛川は室町時代の豪族、寺尾源兵衛が灌漑用に引いたといわれる。遊歩道が整備され、飛び石づたいに文字通り川の上を歩ける場所もある。スリリングながらも、透き通った水のせせらぎや水辺の緑に癒やされる。向かい側から人がやってきたら、脇にそれてあいさつをしながら譲り合うのも気持ちがいい。広瀬橋近くのベンチで川に足をつけるのも爽快だ。

三浦さんの一押しは少し離れた「境川・清住(きよずみ)緑地」。清水町との境にあり、2020年に拡張整備された。水がごうごうと湧き出す様子は迫力十分だ。

境川・清住緑地。水が湧く様子は見飽きない

一日歩いて特に印象深かったのは、川にも道にもごみがなくきれいに保たれていること。源兵衛川も高度成長期以降は排水による汚染が問題になっていたが、市民や行政、企業などが協働し、美しい風景をよみがえらせた。

これから雪解け水の量が増え、源兵衛川では5月から6月にかけてはホタルも見られるという。散策にぴったりの爽やかな季節を迎える。

文/星 裕水 写真/阪口 克

【モデルコース】

●徒歩距離/約7.1キロ
●徒歩時間/約2時間

三島駅
 👟(100メートル)
楽寿園
 👟(700メートル)
三嶋大社
 👟(1000メートル)
三島梅花藻の里
 👟(900メートル)
中郷温水池
 👟(900メートル)
水の苑緑地
 👟(500メートル)
うなぎ 桜家
 👟(1100メートル)
境川・清住緑地
 👟(1900メートル)
三島駅

うなぎ 桜家

  

1856年創業。備長炭で白焼きにしたうなぎを銅製せいろで蒸し、タレでもう一度焼いて仕上げる。外は香ばしく、中はふんわりという火の通し方が絶妙。うなぎ重箱(1匹)5280円(写真)ほか。
■11時〜20時(売り切れ次第閉店、15時30分〜17時は仕込みのため準備中になる場合あり)/水曜(月1回火曜も)休/伊豆箱根鉄道三島広小路駅からすぐ/TEL055-975-4520
公式サイトはこちら


三島駅

東海道新幹線、東海道線、伊豆箱根鉄道駿豆(すんず)線が乗り入れる西伊豆の玄関口。1934年に東海道線の丹那トンネルが開通し、熱海-沼津駅間の新線が開業した際、現在の位置に設置された。南口駅舎は富士山の稜線(りょうせん)と、三嶋大社の社殿の緑青(ろくしょう)色をイメージした屋根が特色。水の都らしく駅前の水道は水琴窟にもなっている。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年6月28日)


Writer

星 裕水 さん

旅行ジャーナリスト・編集者。鉄道、航空、クルーズに関する企画・執筆・編集を多数手掛ける。著書に「絶景の空旅」(小学館、共著)、企画・編集として「脳内&リアルに楽しむ!達人が教える鉄道旅」(JTBパブリッシング)ほか。国内小規模観光地の振興策を研究し、MBA(経営管理学修士)を取得。近年は観光手段としての交通機関やモビリティの研究を行う。横浜育ちの団塊ジュニア世代で、大人になるまでサンマーメンは全国どこにでもあるメニューだと思っていた。プライベートでは、新型コロナ禍の間お休みしていた着付けの稽古も再開したいと考える今日この頃。

 

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