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とっとり日本遺産 ~こだわりの旅・ストーリーを訪ねて~

場所
> 鳥取市、岩美町、若狭町、大山町、三朝町ほか
とっとり日本遺産 ~こだわりの旅・ストーリーを訪ねて~

幸せを呼ぶ麒麟獅子舞

 

鳥取県の人気スポット、四つの日本遺産

鳥取県には四つの日本遺産がある。それぞれの構成文化財をみると、鳥取県が誇る人気スポットが満載だ。

たとえば、大山(だいせん)。標高1709メートル、夏から秋には登山やハイキングを楽しむ人々でにぎわう中国地方の最高峰だ。山の中腹にある大山寺の地蔵菩薩は、平安期から牛馬の守護を願う人々に信仰され、明治期には日本最大の牛馬市に発展した。観光地に秘められた〝ストーリー〞に触れるのも日本遺産の魅力だ。

神仏ゆかりのスポットでは〝日本一危ない国宝鑑賞〞と称される三徳山三佛寺投入堂がある。堂宇までは木の根を伝ったり、岩をよじ登ったり。往復約2時間の険しい行者道を歩く。麓の三朝温泉は世界有数のラドン泉で、体の免疫力や自然治癒力が高まるとされる、山陰の名湯だ。

海側では、国指定天然記念物・鳥取砂丘をはじめ、荒々しい奇岩や断崖が連なる浦富海岸、かつて北前船(きたまえぶね)の寄港地であった賀露港(鳥取港)や青谷港がある。また、県内では鳥取市、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町で春、秋を中心に奉納される麒麟獅子舞(きりんししまい)も構成文化財の一つだ。演者は厳しい季節を無事に過ごせた感謝を込めて舞い、それを見た旅人にも幸せを分け与えるという。

多彩な文化財が織りなすストーリーをたどり、夏の「とっとり日本遺産」を旅しよう。

日本海の風が生んだ絶景と秘境

~幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地「因幡・但馬」~

浦富海岸(国指定名勝および天然記念物)は、青く澄んだ海に、荒波が浸食した奇岩、洞窟、断崖が映える ※写真提供:鳥取県
鳥取砂丘
風が生み出した自然の造形美、鳥取砂丘。8月にはウンラン、ハマゴウの花が咲く
麒麟獅子舞(国指定重要無形民俗文化財)は平和の象徴である麒麟の顔を持つ獅子と先導役の猩々(しょうじょう)の組み合わせで舞うことが多い

[鳥取県:鳥取市、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町、兵庫県:香美町、新温泉町]
鳥取県東部の因幡地方と兵庫県北部の但馬地方は、日本海の激しい季節風とそれに伴う荒波や豪雪により、浦富海岸や鳥取砂丘に代表される雄大な景観が造られた。そこに暮らす人々は、海辺では複雑な入り江地形を活かして漁村を築き、山間部では豪雪が育んだ天然杉を挿し木で増やして良質な杉林を育成するなど、創意工夫を重ねて自然と共存してきた。〝幸せを呼ぶ〟麒麟獅子舞はこうした地域の人々に受け継がれる伝統芸能で、風の季節での無事と感謝を胸に舞われている。

詳しくは、日本遺産「麒麟のまち」推進協議会サイト>>>HPはこちら

 

地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市

大山の夏山登山コース(夏山登山口~山頂)は初心者向けで往復9時間ほど ※写真提供:鳥取県
昭和初期の牛馬市の様子。最盛期の明治中期には年5回市が立ち、年間1万頭以上の牛馬が取り引きされた ※写真提供:鳥取県立公文書館
大山寺への参詣道・大山道には道標の常夜灯や一町地蔵、石畳、宿場の町並みなどが残る ※写真提供:大山町

[大山町、伯耆町、江府町、米子市]
奈良期の『出雲国風土記』に〝伯耆国なる火神岳(ひのかみだけ)〟と記された霊峰· 大山。山腹にある大山寺には山頂の池から出現し、すべての生物を救うと伝わる地蔵菩薩が祀られている。平安期からこの寺の守り札を授かり、牛馬に境内の利生水(りしょうすい)を飲ませると長生きするとされた。やがて、参詣者が互いの馬や牛を比べるようになり、境内下の博労座で牛馬市が開かれるように。参詣者の携帯食「大山おこわ」や「大山そば」は地域の食文化として根付いた。

詳しくは、日本遺産大山山麓魅力発信推進協議会サイト>>>HPはこちら

 

六根清浄と六感治癒の地

~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~

国宝三佛寺奥の院·投入堂。参拝登山事務所から往復約2時間
三朝温泉名物の河原風呂(無料)

[三朝町]
約1300 年前、修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた三徳山。その後、天台宗の慈覚大師が堂宇を建立し、釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来の三仏を安置したことから三佛寺と呼ばれた。山麓の三朝温泉で心身を清め、整える「六感治癒(ろっこんちゆ)」を行ってから、山の行場で人間の五感に心を加えた六根を清める「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」を行うのが作法とされ、今も受け継がれている。

詳しくは、日本遺産三徳山三朝温泉を守る会サイト>>>HPはこちら

 

荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間

~北前船寄港地•船主集落~

賀露神社では2年に一度、ホーエンヤ祭を開催。神輿などを乗せた箱船が千代川を下る(次回は2025年4月)
賀露港近くの「市場食堂」で味わえる北前船定食

[鳥取市 ほか各地]
江戸期、北海道から東北、北陸を経て、西日本に至る西回り航路は、経済の大動脈であった。商船は北前船と呼ばれ、一航海千両の富を得る者もいた。鳥取市の賀露港(鳥取港)と青谷港は北前船の寄港地であり、賀露港近くの賀露神社には廻船商人たちが奉納した石灯籠、船絵馬、船模型などが残る。青谷港近くでは船主集落の町割りや積み荷を運んだ路地が往時を偲ばせる。

詳しくは、北前船日本遺産推進協議会サイト>>>HPはこちら

 


協力:鳥取県とっとり弥生の王国推進課

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年9月号)
(Web掲載:2024年8月2日)


Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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