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相模湾の青に映える根府川駅と白糸川橋梁【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】

場所
> 小田原市
相模湾の青に映える根府川駅と白糸川橋梁【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】

白糸川橋梁は鉄道ファンに人気の撮影スポット。関東大震災の翌年に架け替えられた(写真/ピクスタ)

 

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横浜駅から伊豆急下田駅へ向かう観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」に乗車した際、美しいマリンブルーの車窓に魅了され、いつかホームに立ちたいと思っていた。海の見える駅として知られる、東海道線根府川(ねぶかわ)駅。神奈川県小田原市の南端に位置し、東京駅からは所要1時間半と、青春18きっぷを利用した気軽な日帰り旅にぴったりの目的地だ。

東京駅と神戸駅を結ぶ東海道線は全長589.5キロ。全186駅のうち、根府川駅は東京駅から18番目の駅にあたる。東海道新幹線に乗り慣れた身からすれば、ルートの異なる品川―小田原駅間の車窓や鴨宮(かものみや)駅周辺で望む富士山の姿は新鮮だった。早川駅を過ぎると車窓いっぱいに海が広がり、根府川駅に到着する。

4番線ホームに降り立つと、フェンスの向こうに水平線が伸びていた。駅は崖に沿うように造られており、海抜45メートルのホームから階段を上り、跨線橋を渡った先に駅舎がある。1922年に開業した根府川駅の歴史を物語るのが、改札横の「関東大震災殉難碑」。開業翌年の関東大震災で、駅舎やホーム、入線中の列車が海に沈むという痛ましい事故が起こったのだ。駅舎は悲劇の翌年に再建され、現在は無人駅。夏になると、詩人・茨木のり子が「根府川の海」で詠んだカンナの花に彩られる。

のどかな海を一望する根府川駅は1999年に「関東の駅百選」に選定された(写真/松尾諭)
駅舎と跨線橋は淡い緑色が印象的

根府川駅を起点とする「潮騒の駅根府川・江之浦漁港コース」は所要2時間、海の眺望が楽しめるうえ、鉄音の響く散策コースでもある。散策マップは小田原駅観光案内所で手に入る。各所に道標が設置されているので、アレンジを加えつつ歩いてみた。駅前の県道740号から、「釈迦堂入口」の石碑が立つ階段を下りると、白糸川橋梁が見えてくる。高さ24.5メートルの鉄道橋は、真下から見上げると大迫力。すぐ上流の橋梁は新幹線がトンネルから顔を出す場所で、川沿いを歩く間もひっきりなしに走り抜けていった。

県道に戻り、白糸橋から40分ほど南下する。途中、海を見下ろす展望スポットも。豊臣秀吉ゆかりの天正庵(てんしょうあん)跡には古民家を改装したパン店「麦焼処 麦踏(むぎふみ)」があり、ひと休みできる。屋外型美術館「江之浦測候所」の手前で左折し、見晴し台から鉄路を遠望。ミカン畑に挟まれた坂道をのんびり下った。国道135号に出たら海沿いを白糸川まで北上し、根府川駅に戻ろう。沿道には食事処が点在する。

白糸川左岸にある根府川関所跡。関東大震災の土石流によって運ばれたとされる震災石も
「みかんの花咲く丘と青い海」は「小田原ふるさとの原風景百選」の一つ。花期は5月頃

県道・国道ともに車が多く、歩道が途切れて歩きにくい箇所もある。海景色が目的なら、江之浦測候所(事前予約制)を訪ねるのも一案だ。根府川駅から送迎バスが利用できる。

文/内山沙希子

立ち寄りたいお店

シーフランクドッグと生絞りジュース
2階テラス席は眺望抜群

鈴廣かまぼこ 江の浦店

国道135号沿いに立ち、多彩なかまぼこや地元の柑橘製品を販売している。イートインコーナーの人気はシーフランクドッグ500円、生絞りジュース400円。相模湾を望む2階の「お食事処 しおさい」で海鮮料理を味わうのもいい。
■9~17時(イートインコーナーは11時~、しおさいは11時~15時)/無休/東海道線根府川駅から徒歩20分/TEL0465-28-1147

 


●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻表を基に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●掲載時点では青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表はないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年7月30日)


Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。

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