ぬる湯の温泉 湯の涼6選【日本の涼景】
最近、酷暑の夏が続いています。今年の夏は涼しいところへ旅して、思い切り爽やかな気分を味わってみませんか。①高地や高原の山上 ②渓流や湖の水辺 ③洞窟や氷穴の地下④ぬる湯の温泉―の4 つのカテゴリーに分け、涼景を楽しむフレッシュな夏旅を紹介します。
谷地温泉[青森]
足元から自噴する秘湯のぬる湯
八甲田山麓にある一軒宿で、開湯400年以上の歴史を持つ秘湯の宿。温泉は“霊泉”と言われる38度の単純硫黄泉の「下の湯」と、42度の白濁した単純温泉の「上の湯」の二つの湯船があり、両方入ることで疲労回復などの効能が上がるという。男性風呂(17時~20時30分は女性専用)の「下の湯」は、ポコポコと湯船の底から直接自噴する。食事は南八甲田の湧き水で育ったイワナのほか、山菜やキノコの郷土料理。青森の地酒も各種用意している。
料金:1泊2食1万7090円~/日帰り入浴800円
交通:東北新幹線新青森駅からバス1時間27分、谷地温泉下車徒歩6分(送迎あり、要予約)/東北道十和田湖ICから68キロ、または青森空港から41キロ
住所:十和田市法量谷地1
問い合わせ:TEL0176-74-1181
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岩下温泉旅館[山梨]
1700余年愛された28度の湯を貸切で
甲府盆地の北斜面の果樹地帯を抜ける広域農道フルーツラインのそばに立つ一軒宿。『甲斐国史』の「岩下の地に霊泉あり」という記載など1700余年の開湯の歴史があるとされ、県内最古の湯をうたう。国の登録有形文化財の旧館は、1933年の創業時の雰囲気が残る。半地下にある大浴場には、28度の源泉と加温湯の浴槽があり、いずれもかけ流し。新館の露天風呂と内湯とともに、20時以降は貸切で入れる(50分無料)。夕食は、会席料理を地元ワインとともに。
料金:1泊2食1万7150円~/日帰り入浴500円
交通:中央線山梨市駅からタクシー7分。または中央線石和温泉駅からタクシー10分/中央道一宮御坂ICから8キロ
住所:山梨市上岩下1053
問い合わせ:TEL0553-22-2050
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高峰温泉[長野]
夏も涼しく快適な雲上の湯宿
標高2000メートルの高峰高原にあり、真夏でも最高気温は25度前後と快適。300メートル下で湧出する温泉をポンプアップし、かけ流しにしている。「ランプの湯」など、男女別の内湯には36度の源泉をそのまま使う湯船があり、加熱湯との交互入浴を推奨。名物の野天風呂は、眼下に高峯渓谷、遠く中央アルプスの山々を望み爽快だ。雲海を見られることも。夏は周辺に高山植物が咲き、池の平湿原へのガイド付きツアー(3時間1000円)を実施。夜は星空の観望会も行う。
料金1泊2食1万8850円~/日帰り入浴700円
交通:北陸新幹線佐久平駅からバス1時間、高峰温泉下車すぐ。またはバスタ新宿から高速バス3時間50分、高峰温泉下車すぐ(グリーンシーズンのみ)/上信越道小諸ICから20キロ
住所:小諸市高峰高原
問い合わせ:TEL0267-25-2000
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畑毛温泉 富士見館[静岡]
温度別に分かれた三つの浴槽
400年以上の歴史を持ち、伊豆半島では唯一、環境省の国民保養温泉地に指定された畑毛温泉の宿。自然に囲まれた静かな環境が魅力だ。客室から見える富士山も美しい。源泉をそのまま使う32度~34度の低温のほか、加温した湯を注ぐ37度~38度の中温、40度~41度の高温の温度別の三つの湯船があり、ジェット噴流による気泡があふれている。泉質は無色透明の弱アルカリ性単純温泉。読書しながらのんびりつかる湯治客もいる。チェックインは12時。
料金:1泊2食9480円~/日帰り入浴600円(2時間)
交通:東海道線函南駅からバス25分、畑毛温泉入口下車すぐ/新東名高速長泉沼津ICまたは東名高速沼津ICから17キロ
住所:函南町畑毛226
問い合わせ:TEL055-978-3014
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榊原温泉 湯元 榊原舘[三重]
湯で体を清める「湯ごり」文化が残る
古くは伊勢神宮に参詣する前に身を清める「湯ごり」が行われていた榊原温泉の宿。温泉街で唯一の自家源泉という自慢の湯は、とろみを感じるアルカリ性単純温泉。31.2度の源泉をかけ流す浴槽は、10分以上つかることで体の芯まで温まるという。このほか源泉を加熱した湯を、大浴場や露天、貸切展望露天風呂(50分3300円)、シャワー、客室風呂に使う。料理にも温泉を使い、温泉野菜蒸しが名物の一つ。松阪牛や伊勢エビが出るプランもある。
料金:1泊2食1万9950円~/日帰り入浴1000円(隣接の日帰り専用施設「湯の庄」)
交通:近鉄大阪線榊原温泉口駅から送迎10分(要予約、定時運行・宿泊者のみ)/伊勢道久居ICから11キロ
住所:津市榊原町5970
問い合わせ:TEL059-252-0206
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三瓶温泉 国民宿舎さんべ荘[島根]
男女16の浴槽に注ぐ茶褐色の名湯
中国地方に二つしかない活火山の一つ、三瓶山の麓に立つ。毎分3044.8リットルという中国地方最大級の湧出量を誇り、露天の樽風呂、釜風呂、岩風呂など、男女計16の湯船に注ぐ。34.8度とぬるめの源泉をかけ流す湯船と加温した湯船があり、交互浴で血流改善と体温上昇が期待できるという。泉質は鉄分、塩分を多く含む茶褐色の含鉄(Ⅱ,Ⅲ)―ナトリウム―塩化物泉。満天の星を見上げながら湯浴みしたい。食事は石見(いわみ)銀山地鶏や手打ちの三瓶そばが出る。
料金:1泊2食1万5550円~/日帰り入浴650円
交通:山陰線大田市駅からバス41分、国民宿舎さんべ荘前下車すぐ/浜田道大朝ICから59キロ。または出雲空港から64キロ
住所:大田市三瓶町志学2072-1
問い合わせ:TEL0854-83-2011
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年8月号)
(Web掲載:2024年9月29日)