【5000円で日帰り満足旅】日暮里、柴又、押上を巡り 下町の昔と今に思いをはせる(1)
多種多様な店が並び観光客も多く見られる谷中銀座商店街。「たびよみリポーター」の大原陽子さん(左)と佐野水香(みか)さんはワクワクしながらショッピングを楽しんだ
「下町日和きっぷ」で下町風情を味わう素敵な旅へ
「下町日和(びより)きっぷ」というほのぼのとした名のお得きっぷを使って5000円の旅に出よう。東京都内の京成線の駅を自由に乗り降りし、沿線の街で下町風情を味わえる。「たびよみリポーター」の大原陽子さんと佐野水香さんがそんな素敵な旅を楽しんだ。
京成上野駅で530円のきっぷを購入。次の日暮里駅で降りて、谷中(やなか)銀座商店街へ向かう。美しい夕景で「夕やけだんだん」と呼ばれる階段を下ると、すぐに商店街の入り口だ。全長170メートルの通りに約60店舗が軒を連ねる。青果店や和菓子店、衣料品店、雑貨店など昭和の香りが漂う商店の中に、おしゃれなカフェやヘアサロンなどが交ざり、独特の雰囲気を醸し出す。午前中から外国人を含む観光客が多く詰めかけ、活気に満ちあふれていた。佐野さんは「レトロな雰囲気で懐かしい気持ちになりましたが、今ふうのお店もあって、ちょっと刺激的でした」と笑顔で話した。
谷中銀座は、「ネコの街」としても注目されている。商店の屋根の上や軒下でのんびりとくつろいだり、居眠りしたりするネコの愛らしい姿が人気を集めるようになったのだ。
商店街のほぼ真ん中で多くの観光客を集めるアクセサリー店「凸凹(でこぼこ)堂 谷中銀座」も、谷中のネコに着目し、ネコをモチーフにした商品を売り出している。オリジナルの青い「とんぼ玉」に、ピンと立った小さな耳をつけた「ねこ玉」を使ったペンダントやネックレスがずらりと棚に並ぶ。大原さんは「可愛らしくてお土産にぴったり」と顔をほころばせた。
再び京成線に乗り、次は柴又へ。寅さん像が立つ駅前広場からにぎやかな参道を抜け、柴又帝釈天(たいしゃくてん)に参詣する。江戸前期の1629年に開かれ、「経栄山題経寺(きょうえいざんだいきょうじ)」の正式名称を持つ日蓮宗の寺院。日蓮が彫り付けたとされる板本尊(いたほんぞん)を安置する帝釈堂や、映画「男はつらいよ」の主人公、車寅次郎が産湯につかったことで知られる御神水などを見て回る。帝釈天参りは江戸時代から庶民の間で盛んに行われていたが、高度経済成長期以降は寅さん人気もあり、さらににぎわうようになった。帝釈堂の周囲を巡る法華経の説話を題材にした彫刻や、その前にそびえ立つ「瑞龍の松」など見どころも多い。
帝釈天の裏手を流れる江戸川のほとりに立つ「葛飾柴又寅さん記念館」にも寄った。下町日和きっぷで入館料が100円引きになる。館内では、実際に映画で使われたセットやジオラマ、映像、パネルなどで寅さん映画の世界を再現。案内してくれた統括責任者の諏訪宏さんは「今でもテレビで放送されると、若い世代が昭和の家族に憧れて見に来てくれるんですよ」と話した。大原さんと佐野さんは「男はつらいよ」の魅力に触れ、大満足の様子だった。
文/山脇幸二 写真/齋藤雄輝 ヘアメイク/依田陽子、金田仁見
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今回立ち寄った沿線のお店や施設
全国各地にアクセサリーや雑貨の店舗を展開するタンザワが2019年に谷中銀座商店街に開店。人気のねこ玉のほか、とんぼ玉、カクテルガラスなどのイヤリング、ピアス、ネックレス、ブレスレットを販売。若者だけでなく、シニア向けの商品もそろえている。
■10時~18時/無休/京成線日暮里駅から徒歩6分/☎03・5842・1922
柴又が舞台となった映画「男はつらいよ」の世界を、映像やセット、小道具などで再現。柴又帝釈天の近くに1997年に開設した。山田洋次監督の業績を紹介する「山田洋次ミュージアム」やTORAsan cafe(トラサンカフェ)も併設。ドリンクのほか、カレーやナポリタンなどの軽食もある。11月5日~12月下旬は工事のため休館。
■9時~16時30分/第3火曜(祝日の場合は直後の平日)休/500円(下町日和きっぷ提示で400円)/京成線柴又駅から徒歩8分/TEL03-3657-3455
今回使った“お得なきっぷ”
下町日和きっぷ◎京成電鉄
大人530円。東京都内の京成上野(押上)―京成金町駅(江戸川駅)間が1日乗り降り自由。エリア内の提携施設や店舗で優待特典も受けられる。京成線各駅の券売機で販売。
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2024年12月号)
(Web掲載:2024年11月15日)