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【紅葉の秘湯】文化財の名建築を紅葉が彩る 群馬・法師温泉 長寿館

場所
> みなかみ町
【紅葉の秘湯】文化財の名建築を紅葉が彩る 群馬・法師温泉 長寿館

長寿館といえばこの混浴大浴場。20時〜22時は女性専用の時間が設けられている

 

名建築で極上の湯を愉しむ

三国(みくに)街道の永井宿から、曲がりくねった山道をどんどん進む。針葉樹林帯を抜けると道幅はいよいよ狭くなり、ブナやミズナラの黄、カエデの橙(だいだい)や赤がまぶしく輝く。道の終わりに現れるのが長寿館だ。

1875年築の本館をはじめ、建屋のうち3棟が国の登録有形文化財。美しい木造建築は「旅籠(はたご)」と呼びたくなるたたずまいで、沢の水音が心地よく風情を添えている。

囲炉裏のある玄関、黒光りする柱や梁(はり)、どこを見ても感嘆の声がもれる宿だが、秋は敷地を見渡す中央の渡り廊下で立ち止まりたい。そこは紅葉を眺める特等席。モミジが屋根に壁にと迫るように枝葉を広げ、緑から赤の鮮やかなグラデーションで見事に名建築を引き立てる。

本館川側の客室からの眺め。燃えるような赤もいいが、晩秋の散り姿もまた味わい深い

混浴大浴場「法師乃湯」で寄棟(よせむね)造りやアーチ型窓の建築美と、足元湧出の希少な湯を体験したら、総檜(ひのき)造りの「玉城(たまき)乃湯」へ。露天風呂の湯にモミジが映り込み、まるで秋が体に染みわたっていくようだ。

川魚や牛肉、豚肉をはじめ可能な限り上州産を用いる夕食を味わい、文人墨客が過ごした空間で本を開きつつ秋の夜長を過ごすのもいい。

文/春日明子

「玉城乃湯」の露天風呂は、雑木林にひっそりと湧く野湯のような造り
数々の文人が宿泊した本館では客室の縁側から庭のモミジがよく見える
上州牛のすき焼きをはじめ、好みの食事と宿泊棟の組み合わせからプランを選ぶ

法師温泉 長寿館

🍁紅葉の見頃:10月下旬~11月上旬
TEL:0278-66-0005
住所:みなかみ町永井650
客室:全33室
温泉:カルシウム・ナトリウム―硫酸塩泉

1泊2食料金(1人分)
2人1室利用 平日2万1050円~・休前日2万2150円~
1人1室利用(通年可) 平日2万4350円~・休前日2万5450円~
日帰り入浴:11時〜13時30分/水曜休(利用不可の日あり)/1500円

交通:上越新幹線上毛高原駅からバス30分の猿ヶ京下車、町営バスに乗り換え20分、法師温泉下車すぐ/関越道月夜野ICから19キロ

※料金などは掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年10月号)
(Web掲載:2024年11月27日)


Writer

春日明子 さん

1979年生まれ、神奈川県出身。会社員時代に釣りに目覚め、いつの間にか釣り新聞の編集者となる。編集プロダクションにて旅行雑誌やコーヒー専門誌、機内誌を中心に編集・執筆活動を続けたのち、鮭釣りに訪れた北海道で人生の伴侶を釣り上げ、2016年に別海町へ移住。酪農地帯の真ん中で原稿を書く。

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