【私の初めてのひとり旅】榊原郁恵さん 伊勢、鯖江(2)
さかきばら・いくえ[タレント]
1959 年神奈川県生まれ。第1 回「ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリに輝き、77 年にアイドル歌手としてデビュー。81年からミュージカル「ピーターパン」の主役を務めるなど舞台、テレビ、映画で活躍。旅番組にも多く出演している。『郁恵のおいしい食卓』(主婦と生活社)など料理関連の著書も出版。
思い出の伊勢へひとり旅 芸能の神様にお礼参り
【私の初めてのひとり旅】榊原郁恵さん 伊勢、鯖江(1)から続く
ここ十数年です、地方公演の前後にひとりで行動することが増えたのは。近くの公園やお城を散策するくらいですけど。ひとり旅といえば、名古屋から伊勢を巡ったことかしら。12年に「NEWヒロイン〜女たちよ、タフであれ」という舞台の東京公演を見に来てくれた友人に、舞台の成功を祈って伊勢の猿田彦神社の芸能御守をもらいました。その舞台の最終公演の会場が名古屋だったので、伊勢へ行くのも近い。無事に終わったら、お礼参りに行こうと計画して、最終日の翌日、ひとりで名古屋から近鉄に乗って伊勢市に行きました。
伊勢へは何度も家族旅行で訪れていて地理は分かっていますが、限られた時間を有意義に過ごしたいと思い、現地ではタクシーを貸し切りました。外宮を参拝した後、宇治山田駅近くの「ちとせ」という伊勢うどんのお店に立ち寄りました。
「ご一緒にどうですか」と運転手さんに声を掛けたわけでもなかったのに、店に入って私の向かいに座ったのに驚きました(笑)。私がうどんの写真を撮っていたら、運転手さんがかき混ぜた自分のうどんを「撮りますか」って差し出してきたのもびっくり。「あ、はい……」って戸惑いながら撮りましたが(笑)。
猿田彦神社の境内にある佐瑠女(さるめ)神社は芸能の祖神といわれる天宇受売命(あめのうずめのみこと)を祀(まつ)っていて、芸能・スポーツ関係の方が多く参拝に訪れるそうです。お礼参りを終えて、内宮へ行くと、ちょうど翌年までが式年遷宮だったので、新宮の敷地を見てお布施を納めてきました。帰りの新幹線では、伊勢名物「赤福」の2個入りをホクホクしながら味わったものです。
福井県鯖江市で行われた公演前にひとりで市内を観光したのも印象に残っています。21年3月、つつじ祭りで有名な西山公園を散策していたら、動物園がありました。屋内展示室では、地上3〜5メートルの所をレッサーパンダが歩いたりブリッジを渡ったりする姿を間近に観察できるんです。それがホントにかわいらしくて。動画を撮りながら、思わず実況していました(笑)。
地方へ行くと、たとえ半日しか滞在しなくても、印象的な出会いがあったり、思いがけない品物を見つけたりして、癒やされると同時にパワーをもらっています。
話・写真/榊原郁恵
聞き手/田辺英彦
(出典:「旅行読売」2024年10月号)
(Web掲載:2024年12月4日)