【鉄道ひとり旅】ナロー鉄道3路線を乗り継ぐ(1)三岐鉄道-四日市あすなろう鉄道
軌間762ミリのナロー鉄道、三岐鉄道北勢線。懐かしいモーター音も魅力だ
コンパクトで愛らしい電車でミニトリップ
ナロー鉄道とは、レールとレールの間の寸法が762ミリという、極端に幅が狭い線路を使った鉄道路線のこと。以前は全国各地で見られ、「軽便(けいべん)鉄道」とも呼ばれていた。それが時代の変化の中、今や生活路線としては三重県の三岐鉄道北勢(ほくせい)線と、四日市あすなろう鉄道の内部(うつべ)・八王子線の3路線が残るだけ。今回は、コンパクトで愛らしいナロー鉄道を乗り継ぎ、地元の温泉やグルメを楽しむ旅に出かけよう。
近鉄名古屋線で桑名駅に着いたら、改札を出て西桑名駅から三岐鉄道北勢線に乗る。近鉄名古屋線の線路幅は新幹線と同じ1435ミリなので、北勢線の線路を見ると、その狭さに驚く。車両もまた、遊園地のおとぎ電車のようなミニサイズだ。
まず訪れたいのが、楚原(そはら)駅から徒歩15分ほどの田園地帯にある「ねじり橋」と「めがね橋」。いずれも1916年竣工のコンクリートブロック製橋梁(きょうりょう)で、特に「ねじり橋」は、江戸時代に作られた用水路が斜めに交差しているため、橋の下部のブロックがひねりを入れて積まれる「ねじりまんぽ」と呼ばれる構造を持つ。現存するコンクリートブロック製の橋では唯一のもので、2009年に土木学会選奨土木遺産に認定された。
二つの橋を見て回った後は終点の阿下喜(あげき)駅へ。隣接する軽便鉄道博物館には、1931年製の貴重な木造電車モニ226やミニ鉄道、軽便鉄道の資料が展示されている。駅から徒歩3分の「おふろcaféあげき温泉」にも寄ろう。地元野菜を使ったメニューが自慢の「新上木(あげき)食堂」が併設されており、温泉とランチを楽しめる。
ひと風呂浴びたら、次は四日市エリアへ向かう。北勢線を西桑名まで戻り、名物のハマグリを使った駅弁「はまぐり天むす」を買ってみよう。桑名駅構内の「伊勢ノ国食堂しちり」で販売しており、小腹が減ったときのおやつにもぴったりだ。
文・写真/伊藤岳志
【鉄道ひとり旅】ナロー鉄道3路線を乗り継ぐ(2)三岐鉄道-四日市あすなろう鉄道へ続く(1/22公開)
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2025年1月21日)