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【鉄道ひとり旅】観光列車で存分に車窓を楽しむ(1)信越線-篠ノ井線-大糸線

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 千曲市、安曇野市、小谷村、大町市ほか
【鉄道ひとり旅】観光列車で存分に車窓を楽しむ(1)信越線-篠ノ井線-大糸線

リゾートビューふるさとが停車する姨捨駅の2番線ホーム。絶景をバックに記念撮影するスポットもある

 

雄大な山々と川の流れ……のどかな車窓の風景

列車に揺られながら、のどかな車窓の風景をのんびり眺めたい。そう思って頭に浮かんだのが、観光列車「リゾートビューふるさと」だった。

長野駅から信越線、篠ノ井線で松本駅を経由し、大糸線の南小谷(おたり)駅まで、土曜、休日を中心に走っている。乗車券のほかに指定席券840円が必要だが、快速なので特急料金もかからない。窓は大きく、座席の前後の間隔が120センチとゆったり座れる。眺めのいいポイントではアテンダントのアナウンスや徐行もあるという。車窓を楽しむにはぴったりの列車である。

運転室の後ろにはフリースペースの展望室があり、シートが置かれている
車内ではオリジナルグッズ、アルコールやドリンクも販売

10時4分に長野駅を出発した列車は、篠ノ井駅を過ぎた辺りから徐々に勾配(こうばい)を上り始める。だんだん視界が開け、標高547メートルの姨捨(おばすて)駅に到着した。姨捨駅周辺から眼下に広がる善光寺平(長野盆地)の眺めは日本三大車窓といわれるほど。広大な盆地の中央を千曲(ちくま)川がゆったり流れ、家々が点在する。田んぼの緑が美しい。ホームには展望エリアもあり、列車は16分間停車する。遮るもののない里山風景は圧巻。しっかりと心に刻んだ。

姨捨駅ホームからの善光寺平の絶景。中央に千曲川が流れる
跨線橋(こせんきょう)からホームを見下ろす。1番線ホームには長野行きの普通列車が

松本駅で列車は進行方向を変え、大糸線に入る。前後が逆転するので座席も回転する。田園風景を眺めながらしばらく走ると穂高駅。ここでは穗髙神社に参拝できるよう、停車時間を36分間とっている。神社までは駅から5分の道のりだが、駅前の食堂のたたずまいや果物を売る直売所を見ながら歩くだけで、知らない街の匂いを感じられて楽しい。

白木造りの拝殿が見事な穗髙神社。穂高駅の停車時間に参拝できる
穂高駅。駅舎は穗髙神社を模した社殿造り

穂高駅を出ると、いよいよ楽しみにしていた北アルプスの眺望が待っている。はずだったが、大糸線に入ってからはずっと曇り空で、山頂には雲がかかっていた。それでも、こんもりとした山々が連なる姿は雄大だ。その先も、車窓左手には北アルプスの雄姿が続く。紅葉に染まる姿はさぞかし見事だろう。

信濃大町駅を過ぎると、窓のすぐ横に大きな湖が現れた。仁科三湖の一つ、木崎湖だという。南小谷駅に近づくと、姫川沿いを走行する。山の眺めも壮観だが、満々と水をたたえる湖や、大小の石の間を水しぶきを上げて流れる川を見ていると、なんだか心がゆったりしてくる。

14時4分に南小谷駅に到着。心躍る4時間の列車旅だった。南小谷駅からは村営バスで雨飾(あまかざり)高原へ。雨飾荘に宿泊し、山の温泉を満喫した。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

雨飾高原の紅葉名所・鎌池までは雨飾荘から車で10分。紅葉の見頃は10月中旬~下旬(写真/ピクスタ)

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2025年2月1日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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