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【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(2)高山線

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【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(2)高山線

飛騨古川の瀬戸川沿いの景観。白壁土蔵の町並みを、古い店をのぞきながらそぞろ歩くのが楽しい(写真/飛騨市)

 

古い商人町の町割と町家が残る飛騨古川

【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(1)高山線から続く

鈍行で高山駅まで行き、特急ひだ号に乗り換えて飛騨古川駅へ向かった。古川の町並みには、端正な美しさがある。江戸時代に幕府直轄の天領として発展し、商人町として栄え、碁盤の目のような町割りと古い町家が残る。春から秋にかけて鯉が気持ちよさそうに泳ぐ瀬戸川には、白壁土蔵が続きすがすがしい。

優美な町で興味を引くのが「薬草を使った元気なまちづくり」が盛り上がっていることだ。きっかけは、2001年に薬草研究の第一人者、故・村上光太郎(こうたろう)博士によって飛騨に245種もの薬草が自生しているのが確認されたことにさかのぼる。薬草はミネラルの宝庫。ドクダミ、ヨモギ、クズ、メナモミ……。飛騨では豊かなミネラル分を含む薬草が昔からさまざまな用途で使われてきた。先人の知恵を大切に、野生の恵みを市民の健康づくりや地域資源にしようと「飛騨市薬草ビレッジ構想」の輪が広がった。こぢんまりとした町を歩けば、薬草茶やスイーツ、薬草クラフトビールなど趣向を凝らした薬草グルメに出合える。

飛騨古川の薬草事業者は店頭に掲げるグリーンの旗が目印。薬草グルメ・土産を販売している(写真/飛騨市)
1000匹余の鯉が泳ぐ飛騨古川の瀬戸川(写真/飛騨市)

町の中心部、大正モダンな古民家を改装したカフェ「蕪水亭OHAKO(ぶすいていおはこ)」にてランチを。地元で採れた薬草をふんだんに使い、少しずつ味わえるランチプレートがうれしい。

薬草を体験できる施設「ひだ森のめぐみ」では12種の薬草から選べるティーセレモニー(薬草茶づくり、要予約)が人気。ブレンド茶を自分で作ってみたが、意外にクセがなく飲みやすい。薬草の特徴を、一つひとつ教えてもらったおかげでありがたみも加わった。

レトロな外観の「蕪水亭OHAKO」
おいしく食べられる薬草料理がテーマの「薬草ランチプレート」1080円が人気。薬草シフォンケーキ、コーヒー付きは+500円

旅先の早起きも「三文の徳」

旅先では目覚めがいい。古川の町を散策しようと7時に宿を出ると、飛騨古川駅は朝霧に包まれていた。空気がおいしく、すれ違う人もいない。「三寺(さんてら)めぐり朝市」に向かうと、朝どれ野菜を買おうとしている70代女性に出会った。聞けば、古川を巡ること十数回。飛騨の野菜が好きで、宿では塩だけで食べるそうだ。

「この町はどこにでも歩いて行ける。いつも素泊まりで地元のモーニングを楽しむ」と魅力を教えてくれた。朝市のお母さんばかりでなく、旅人の雰囲気もあたたかい。

 

飛騨古川の「三寺めぐり朝市」は福全寺跡で開催(火曜休)。地元の特産品が並ぶ
朝霧が立ち上る、山あいの猪谷(いのたに)駅。駅近くに猪谷関所館がある(写真/ピクスタ)

2日目はさらに富山方面へ北上した。ローカル線に揺られること小一時間。朝霧が立ち込める里山の風景から目が離せず、気付けばボックスシートから身を乗り出していた。県境の猪谷(いのたに)駅で、乗り換えのため列車を降りる。ここで見上げた駅舎の素朴なたたずまいに見惚(ほ)れた。

 

 

9月上旬の「おわら風の盆」では数千のぼんぼりが並ぶ越中八尾(やつお)(写真/ピクスタ)

薬草体験施設「ひだ森のめぐみ」

飛騨の薬草を体験できる施設。薬草に詳しい常駐スタッフに聞きながら、薬草茶を試飲し、薬草商品を購入できる。ティーセレモニー(要予約)のほか、薬草七味づくり、薬草入浴剤づくりなどの有料ワークショップを開催する。

■10時~16時/年末年始休/高山線飛騨古川駅から徒歩6分/TEL0577-73-3400


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2025年2月4日)


Writer

仲底まゆみ さん

大阪生まれ。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。「こころで聴き、足で書く」をモットーに取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標。共著 『建築技師という生き方 東畑謙三との対話』(創元社)

 

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