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【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(1)高山線

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【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(1)高山線

飛騨金山―焼石駅間の飛騨川沿いを走る高山線。下原ダム湖は風のない時は“水鏡”となり色付き始めた秋を映す(写真/伊藤岳志)

 

知らない町を歩きたい。飛騨金山で筋骨めぐり

知らない町を歩きたい。人混みを避け、気の向くままに。移動そのものが観光になる鉄道旅がいい。岐阜と高山、富山を結ぶ高山線は、今年で全線開通90周年を迎えた。その道は平坦でなく、山岳地帯のため紆余(うよ)曲折あった。45駅の長大路線に、開通時は184の鉄橋と60のトンネルがあり、全線開通は〝飛騨の夜明け〟と言われたそうだ。

沿線は北アルプスの山々と渓谷を映す車窓が美しく、温泉街や観光地など個性豊かで歴史の痕跡を残す町も多い。名古屋から直通する「特急ひだ」に乗り、気になる駅で途中下車する旅に出た。

列車は飛騨川などに沿って走り、時折、鉄橋を渡る。「高山線の歴史は水害を克服してきたことにある」と聞く。人生は川の流れのようだと例えられるが、まさに言い得て妙だ。曲がりくねったり、合流で勢いを増したり。出発前の豪雨で川やダム湖が増水し、その勢いに圧倒されたが、復路では穏やかな景色に一変。移り変わる車窓に魅せられた。

橋梁を渡る「特急ひだ」。リクライニングシートを備え窓も大きく快適だ(写真/伊藤岳志)
白川口—上麻生駅間の「飛水峡」は険しい断崖が続く(写真/伊藤岳志)

まず飛騨金山駅で下車する。目的は、迷路のような路地裏体験ができる「筋骨(きんこつ)めぐり」。筋骨とは、飛騨地方の言葉で狭い路地のこと。江戸時代の金山では、四つの藩の境にあたる宿場町として表通りがにぎわう一方、裏通りは生活するための小路が複雑に形成された。街歩きガイド、岡戸孝明さんに案内してもらう。「ここから筋骨ですよ」と言われ、一人なら見過ごしてしまっただろう小路(こみち)からスタートした。

木造駅舎の飛騨金山駅。昭和初期に開業し、終着駅だった頃の面影を残す(写真/ピクスタ)
筋骨めぐり

街道沿いに立ち並ぶ家々は、表から見ると2階建てだが、水路のある裏の地下空間から見上げると実は3階建て。所々に現役の共同水場があり、昔ながらの暮らしを感じる。「この辺りの建物は増築を重ねたものだから、今では違法建築。壊れてしまったらおしまいでね」と岡戸さん。迷路という生きた風景を記憶に残したい。そんな思いから、何度も足を運び、スケッチする人もいるという。

文/仲底まゆみ

【鉄道ひとり旅】飛騨の昔町、ぶらり下車の旅 路地裏探検と薬草まち巡り(2)高山線へ続く(2/4公開)

 

筋骨めぐり

  
  

地元の「筋骨ガイド」が飛騨街道・金山宿を案内。筋骨とは、細い路地が迷路のようにからみ合っている「公道」。金山の歴史を聞きながら、城造り建築や昭和時代の銭湯、井戸水をくむ手こぎポンプなど懐かしい風景を見学する。

■ガイドによる案内は1時間から(スタートは飛騨金山駅か「レストラン飛山」)/1人~6人は2000円、7人以上は1人に付き300円(前日までに要予約)/TEL0576-32-3544(金山町観光協会/JR飛騨金山駅構内)


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2025年2月3日)


Writer

仲底まゆみ さん

大阪生まれ。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。「こころで聴き、足で書く」をモットーに取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標。共著 『建築技師という生き方 東畑謙三との対話』(創元社)

 

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