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貸切列車「ひとめぐり号」で秋の北海道を満喫してきました!【3日目】

場所
貸切列車「ひとめぐり号」で秋の北海道を満喫してきました!【3日目】

広い空、大きな雲の下に広がる釧路湿原。木立を抜けると視界が広がった

 

ありのままの自然が残る釧路湿原を縦断

貸切列車「ひとめぐり号」で秋の北海道を満喫してきました!【2日目】から続く

貸切列車「ひとめぐり号」で北海道を周遊するツアーの3日目は、帯広駅から釧路駅を経由して網走駅まで約300kmの行程。中でも釧路湿原を走り抜けてオホーツク海沿岸の網走駅に至る釧網線は、鉄道ファンなら一度は乗ってみたい路線だ。

帯広駅出発は9時半過ぎ。指定された座席は4日間同じなので、3日目ともなれば近くの席の人とも打ち解け、菓子や飴を交換するなど車内は和気あいあい。アテンダントも4日間同じなので、気心の知れた仲になっていく。景色や食べ物だけではなく、こうした出会いやふれあいも「ひとめぐり号」の魅力なのだと再認識した。

列車はやがて釧路駅を経て釧路湿原を南から北へ縦走。草紅葉と湿原を縫うように流れる川の清らかさが印象的だ。派手さはないが、ありのままの自然とそのスケールの大きさに感動。カヌーを楽しむ人が列車に手をふり、群れをなすエゾシカがふと顔を上げた。

木立の間に見え隠れする川ではカヌーを楽しむ人の姿も
アテンダントと心の距離も近くなり、旅はさらに充実

白波が寄せるオホーツク海を車窓に

この日の昼食は沿線の素材をふんだんに使ったランチボックス。阿寒ポークのハムのドッグサンド、釧路産キャベツと道産タマネギを使ったキッシュ、道産野菜とキノコのサラダ、白糠産のチーズなど、爽やかな風味が口中に広がるランチだった。

やがて雄大な斜里岳が見えてくると知床半島の玄関口でもある知床斜里駅に到着。斜里岳の山頂は早くも雪をかぶり、ホームに降りると秋らしいひんやりとした空気に包まれた。

知床斜里駅から網走駅までは、今回のツアーのハイライトの一つと言える区間だ。車窓右手に続くオホーツク海の眺めは圧巻。遠くの海面は藍色に染まり、海岸線には白波が打ち付ける。素朴な漁師小屋が点々と建ち、待合室だけの小さな駅が車窓を過ぎてゆく。北海道を周遊しているんだと、強く実感できる区間だ。

車窓いっぱいに広がるオホーツク海。もうすぐ厳しい冬が訪れる

厳冬の地に建つ網走刑務所の歴史を知る

海岸線の先に大きな街が見えてくると、網走駅は近い。網走駅到着は15時。空気はさらに冷たく感じられ、明日の朝は予報によると気温は2度まで下がるとのこと。北海道に来たことを重ねて実感した。

網走駅からは貸切バスで宿へ向かう途中、博物館網走監獄を見学した。明治・大正時代に網走刑務所が網走監獄と呼ばれていた頃の建物を移築・復原、再現した施設だ。監獄での厳しい暮らしを想像すると同時に、囚人たちの労働により北海道開拓が進んだことも知ると複雑な気分になったが、歴史の事実を知ることもまた旅である。

この日は網走湖畔の宿に宿泊。夕方、刻々と色を変えやがて闇に包まれる湖面を、客室の窓から眺め続けた。

なお宿のアップグレードも可能で、3日目は知床斜里駅から貸切バスで知床半島の宿へ向かい、知床五湖を散策するプランも選択できる。好みに応じてツアーをアレンジできるのもありがたい。

 

8棟が国の重要文化財に指定されている博物館網走監獄

文・写真/渡辺貴由

貸切列車「ひとめぐり号」で秋の北海道を満喫してきました!【4日目】へ続く


※記載内容は掲載時のデータです。

(Web掲載:2025年3月25日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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