たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【大阪・関西万博】屋根も壁もないパビリオンで 共鳴体験を通じて 未来へ向かう

場所
> 大阪市
【大阪・関西万博】屋根も壁もないパビリオンで 共鳴体験を通じて 未来へ向かう

シークエンス2「人と世界の共鳴」。虹が浮かび、消える様子を体験できる(©SANAA)

宮田さん_正方形.jpg
©Better Co-Being

みやた・ひろあき
1978年生まれ。慶応義塾大学医学部教授。データサイエンスを専門とし、科学的手法を駆使して社会変革に挑戦。約5000病院が参加する「National Clinical Database(ナショナル・クリニカル・データベース)」事業などのほか、医学領域を超えた取り組みも実践する。行政や企業等の多様な関係者とも協働し、新しい社会ビジョンを描く。

「Better Co-Being」プロデューサー 宮田裕章さんにインタビュー

これまでの万博では、パリのエッフェル塔などのように人工建造物が会場中央に据えられていました。しかし、今回は1970年大阪万博の会場だった万博記念公園の“森”をお招きしています。具体的には、伐採予定だった公園内の木々を夢洲(ゆめしま)に移植して森を再生。この「静けさの森」の中で生態系やアートを見つめ、未来について多層的に考えていただきます。平和な未来を描いてきたオノ・ヨーコさんらがアーティストとして参加します。

私が関わるパビリオン「BetterCo-Being」は、「静けさの森」と一体となり、未来への共鳴を表現するプロジェクトです。屋根や壁がないのが特徴で、テーマは「いのちを響き合わせる」。来場者が15名ほどの一期一会のグループを組み、「人と人との共鳴」「人と世界の共鳴」「人と未来の共鳴」という三つのシークエンス(共鳴体験)を巡り、さまざまな響き合いの中で、共に生きる未来のあり方を模索します。

シークエンス1「人と人との共鳴」では、自己と他者を見つめ、「何を通してつながるか」を再認識する体験をつくり出します。参画するアーティストは、塩田千春さんと宮島達男さんです。多様な意味を持つ赤い糸を用いた塩田さんの作品は、現代社会の中で他者や世界を尊重しながら、より良い共存について問いかけてくるでしょう。宮島さんの体験は、40か国以上の言語が響き合う空間で森や空を眺め、“人と人のつながり”を新たな角度から見つめ直せるはずです。

シークエンス2「人と世界の共鳴」は私の作品です。気象現象の変化は、温暖化や汚染など憂慮すべき状況で実感されがちですが、フロンガス削減といった人類が解決に向けて取り組んでいる前向きな事例もあります。通常はコントロールできない気象を「虹をつくる」という一つの体験を通して、そのアナロジーを感じてもらいます。空を見るというのが、このパビリオンにおける非常に重要な体験なのです。

3.空模様が感じられる.jpg
空模様がより繊細に、時にダイナミックに感じられるパビリオン/©Better Co-Being

パビリオン内では、独特な触感で共鳴や導きを生み出すふしぎな石ころ「echorb(エコーブ)」や、体験を分析・共有する「Better Co-Beingアプリ」といった新技術が活用され、「水」「栄養」「酸素」という生命の基本要素を見つめ直したギフトが体験の最後に配布されます。さらに、バーチャルパビリオンも用意され、共鳴を感じられる新しい体験が満喫できます。

4.ふしぎな石ころ.jpg
森の中を導いてくれるふしぎな石ころ「echorb」/©Better Co-Being

経済は手段として優れたものですが産業革命以降はそれが目的化し、私たちの活動が飲み込まれています。人々の未来を動かすのは「いのちの輝き」であり、多様な豊かさを共創することだと考えます。今までの万博は「見るだけ」のものが多かったのですが、今回は「参加する」万博になります。参加者が問いかけた言葉こそが大事になるのかもしれません。そういった「共につくる場」の重要性を私たちも強く感じ、多義性のあるアートをコミュニケーション手段として、本プロジェクトで問いかけを行っています。

聞き手/児島奈美

読売旅行の大阪・関西万博ツアーはこちらから

【大阪・関西万博の注意事項】 
・来場はスマートフォンで日時を予約してから
・自家用車は会場への乗り入れができない。万博パーク&ライド駐車場の利用を
・会場内で現金は使用できない。キャッシュレス決済の準備を
・キャスター付バッグや大型荷物は会場内に持ち込めない。コインロッカーなどの利用を

※最新情報は「公式サイト」で確認してください


(出典:「旅行読売」2025年5月号)
(Web掲載:2025年4月18日)


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています