津軽の旧家・宮越家で離れや庭園を期間限定公開。約150年ぶりに顔合わせした襖絵も特別展示

「春景花鳥図」宮越家蔵
青森県中泊町にある旧家・宮越家の離れと庭園の一般公開が5月23日から6月29日まで行われる(予約制、月曜休館)。
離れ「詩夢庵(しむあん)」は宮越家9代当主・正治が1920年、イハ夫人のために造ったもの。建具や調度に贅が凝らされ、特に小川三知(さんち)の手による和の意匠を盛り込んだステンドグラスは傑作といわれる。詩夢庵を囲むように、大石武学流庭園、枯山水庭園、池泉庭園の三つの庭園が配されている。
宮越家は螺鈿や蒔絵が施された火鉢や硯箱、茶道具など、多くの工芸品のほか、橋本雅邦や横山大観、橋本関雪ら近代日本画を代表する画家の作品も所蔵している。今回の一般公開では、襖絵「春景花鳥図」が大英博物館所蔵の「秋冬花鳥図」の高精細複製品とともに特別展示される。
2組の襖絵は江戸時代初期の狩野派筆とされ、奈良県の談山(たんざん)神社が所蔵していたが、明治維新後に散逸。「春景花鳥図」は1922年に宮越正治が購入、「秋冬花鳥図」は1937年から大英博物館に所蔵されてきた。元京都国立博物館主任研究員の山下善也氏が2024年に一対の作品であることを発表した。
一点はレプリカとはいえ、約400年前に描かれ、今は津軽とロンドンにある襖絵が約150年ぶりに顔合わせする。期間や人数が限定された特別公開の詳細は下記の通り。
□期間
2025年5月23日~6月29日(月曜休み)
□価格
2500円(シャトルバス代、博物館入館料込み)
□来場方法
専用のシャトルバスのみ(1日8便、1便10人まで)
※乗車は津軽中里駅など3か所
□チケットの購入
インターネット(専用サイト)
中泊町文化観光交流協会 ℡0173-57-9030